建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. マニュアル TOP
  3. 図面製図マニュアル
    1. 配置図の描き方
    2. 平面図の描き方
    3. 断面図の描き方
    4. 立面図の描き方
    5. アクソメの描き方
    6. 図面のレイアウト
    7. 技法・解説
  4. 模型制作マニュアル
  5. 写真撮影マニュアル

平面図の描き方


平面図の概要

建物のそれぞれの床から1,000〜1,500程度の高さにある水平面で建物を切断し、それを真上から見た形態を、表記記号や文字と共に示す図面です。
平面図には、建築の機能や動線、プログラム、そして空間の規則などが良く表われると言います。設計図の中でも特に重要な図面ですので、それぞれの箇所の表記方法の約束事は必ず覚えて理解しておかなければならないでしょう。
技法・解説:
地下階の描き方
関連用語:
平面図 ゾーニング 動線 縮尺

平面図の描き方はリチャード・マイヤーが1973年に設計した「ダグラス邸」の縮尺S=1/100の図面を題材に、大まかな描き方の流れを説明します。

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ダグラス邸の完成平面図 平面図のVectorWorksデータ:douglashouse.zip


STEP 01:基準線を引く

平面図の製図はまず基準線と補助線を引くことから始まります。
基準線を引くためにはエスキスを繰り返し、構造ゾーニングを、ある程度は決めておかなければなりません。それのエスキスで決めたモデュールを基準にし、基本的にはスパンに沿ってグリッド状の基準線を引くことになります。この基準線を中心として、柱や壁などが置かれていきます。
なお平面図は、基本的には図面の上方が北となるように描きます。

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VectorWorksデータ:plan01.zip
この基準線は、柱などの構造体の通心となる設計の基準の線です。つまり単純なラーメン構造である場合、基準線と基準線が交差する点には構造体(柱)を置くことになります。
それに対して補助線とは、製図を進める上で利用する線のこと。例えば壁と開口部の境目に引く線や、間仕切り壁のために引かれる線など。
関連用語:
エスキス 構造 ゾーニング スパン グリッド モデュール


STEP 02:切断面を引く

次に切断面を「太線」で描いて行きます。切断面はその水平面で切断された柱や壁などの、建物の躯体の断面です。ほとんどの場合は、図中の様に基準線が柱や壁の中心線となります。
基準線に従う形で、建築の機能や動線、プログラム、構造形式、そして空間の規則などの多くがこの段階で表われることになります。
まずはこの切断面をしっかりと慎重に描いて行きましょう。
ただし、平面図で描く階段やスロープは描き方には特別なルールがあるので注意して下さい。

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VectorWorksデータ:plan02.zip
もちろん、同時に次のSTEPの開口部を描いて行っても良いでしょう。
手書きの図面では、まず壁と開口部の区別なく壁の厚みで薄い線を引くのが一般的だが、CAD製図ではそのような手間がないです。しかし、その替わりに曖昧さが製図作業の中になくなり、一つずつ確実に描く必要があります。製図を進めるには、まず線を引く段取りを決めてから取りかかる方が効率が良いでしょう。
技法・解説:
壁・柱・梁の描き方 階段・スロープの表記方法 線の強弱
関連用語:
切断面 躯体


STEP 03:開口部を描く

その平面図上に表われるなどの開口部を「細線」で描いていきます。仕切りに使う扉、戸、障子、襖などを総称して「建具」と言いますが、建具には描き方にルールがあります。
これで、その平面図を描くために水平面で切断された部分の、階段以外の全て描いたことになります。外部と仕切られた内部空間の位置が表われます。

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VectorWorksデータ:plan03.zip 技法・解説:
窓の描き方 扉の描き方 線の強弱
関連用語:
嵌め殺し


STEP 04:見え掛りを描く

建物を切断する水平面の上部から見下ろすように描く平面図では、見下ろすと見える「見え掛り」の部分を全て描くことが基本です。
見え掛りの「床」・「階段」・「段差」・「腰壁」などの、建物の躯体を「中線」で描きます。下の階にある「庇」や「屋根」などももちろん描きます。
平面図で描く階段やスロープは描き方には特別なルールがあるので注意して下さい。
躯体の切断面の線と重ならないように描く方が、線を整理しながら描けるので良いでしょう。

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VectorWorksデータ:plan04.zip 技法・解説:
階段・スロープの表記方法 地下階の描き方
線の強弱


STEP 05:手摺・家具などを描く

「手摺」や「家具」、その他の空間に備え付けられている設備などを「細線」で描いていきます。
それらを描いたなら、その平面図に表われる建物の形を全て描いたことになります。

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VectorWorksデータ:plan05.zip 技法・解説:
線の強弱


STEP 06:吹抜・階段・目地を示す

その平面図上に表われる「吹抜」や「階段」、また直上階にある「庇」などには、それぞれ決まり事があります。それぞれの項目に従って、図面として成立させて下さい。
また、エントランスや玄関のドアなどの建物に入る「入口」には「▲」を記入しておきます。

また、図面には目地を描く場合もあります。例えば屋外と屋内の違いをメリハリを付けて表示する場合や、範囲を示す場合などに適しています。目地を入れる場合は、どの範囲にどのような目地を入れるのか(どのような素材にするのか)を決めて、目地を描いてください。

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「屋外デッキ」に目地を入れることで、室内と室外の差が明確に示される。

VectorWorksデータ:plan06.zip
技法・解説:
吹抜の表現 階段の描き方 入口の示し方 線の強弱


STEP 07:寸法・室名を示す

寸法」と「室名」を記入していきます。
この際注意しなくてはならないのは、本来形を示すための図面であるので、図面の線と交わったり被ったりしないことが、見る人に対してのマナーです。
吹抜の表記・階段の表記・目地などの「記号」の線と被っても構いませんが、できるだけ図面の補足的な意味合いの強い寸法・室名は他の線の邪魔にならないように配慮しなくてはなりません。
もちろん、大きすぎる文字なども配慮に欠けます。寸法線の数値は「6pt」程度、室名でも「8pt」程度が好ましいでしょう。
また、これまでの製図に使用した基準線と補助線を、図面が見やすくなるように整理しましょう。

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VectorWorksデータ:plan07.zip 技法・解説:
寸法の示し方 線の強弱


COMPLETE:完成

平面図には「周辺環境」や「外構計画」も記載してやっと完成です。空間を形づくるという意味では室内と室外の差はありません。
また各々の図面に「図面名称・縮尺」と「方位」も記載しましょう。なお、図面名称は各図面に必要です。つまり1枚のシートに4つの図面をレイアウトする場合は、それぞれに1つずつ、計4つの図面名称・縮尺を記載してください。
また、必要に応じて図面に着色を施します。

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VectorWorksデータ:plan08.zip 技法・解説:
図面名称・縮尺 方位の示し方 図面の着色


参考図面:バルセロナ・パビリオンの平面図

bp
接地階平面図(多くの場合1F平面図のこと)には「外構計画」と「接地道路の幅員」も含めて描くことが望ましい。

VectorWorksデータ:bp_plan.zip