配置図は敷地の遙か上空からその敷地を見下ろして描かれた図面です。
建物の建つ環境や状況、またその敷地に対してどのように建っているかを示す図面です。建築はその敷地内だけで成立するものでは決してなく、敷地のコンテクストを読み込み、設計の目的と照らし合わせてコンセプトを実現するということを考えると、周辺環境を利用または排除することも設計の一部です。まず、敷地に対してどのように建っているかをきちんと表現できないと、設計内容を示すことができません。
配置図は1階平面図と兼用されることもありますが、大抵は屋根伏図を配置図と兼用して描きます。平面図よりも小さい縮尺で描き、平面図より広い周辺環境を描きます。
関連用語:
配置図
都市計画図
敷地
コンテクスト
「配置図の描き方」はミース・ファン・デル・ローエが1929年に設計し、現在再築されているバルセロナ・パビリオンを題材に、大まかな描き方の流れを説明します。他の図面と異なり、記号的表現や表記法の決まり事はそれほどありません。ただ、範囲が広く手間のかかる図面です。周辺環境を把握することにもなるので、設計の早めの段階から描き始めると良いでしょう。
バルセロナ・パビリオンの完成配置図
配置図のVectorWorksデータ:bp_siteplan.zip
何もないところから配置図をいきなり描き始めるのは困難です。課題によっては事前に用意されている場合もありますが、まず「都市計画図」やその代わりになるような地図を手に入れることから始めましょう。それをトレースすることから配置図の製図は始まります。もちろんほとんどの設計では周辺環境を読み解くことが求められますから、まず資料としてこれらの白地図を手に入れることになります。
スキャナがある場合は白地図をスキャンして、VectorWorksにその画像を取り込み、トレースします。
スキャナない場合は適切な縮尺に拡大/縮小コピーをして三角スケールを各箇所に当てながらトレースします。
周辺環境を示すことが目的ですから、必要な要素を抽出し、余計な情報を省きながら製図しましょう。
技法・解説:
白地図のトレース
縮尺変換の計算
関連用語:
都市計画図
まず、道路・歩道・敷地(建物の建つ私有地や公有地など)を描き分けます。
配置図で描く範囲は、最低でも接地道路の幅員を含め、敷地周辺の環境を示さなくてはなりません。つまり配置図を見ると住宅地であるのか、オフィス街であるのか、自然に囲まれた場所であるのかが直感的に分かるように描かなければなりません。それが指し示すことができる範囲を描きましょう。
歩道の有無や幅員、道路網などの状況だけで大体の周辺環境を示すことになりますので、道路は省略せずに描きましょう。
VectorWorksデータ:siteplan01.zip
周辺建物はその敷地がどのような場所であるのかを示すのに非常に有効です。
但し、詳細を描く必要はありませんので、建物の外形線など、適当に省略して描きましょう。要は、どのぐらいの大きさの建物がどのような密度で周辺にあるかを示せれば良いのです。
VectorWorksデータ:siteplan02.zip
街路樹などの樹木やその他の必要な情報を描き、周辺環境をより把握しやすくする。
敷地に高低差がある場合、コンタラインもしっかり描いてください。
VectorWorksデータ:siteplan03.zip
※上図は1/1500と縮尺が大きく、街路樹を描くと繁雑になるため、あえて記載していない。
関連用語:
コンタライン
配置図で示す計画した建物は屋根伏図として描くのが一般的です。屋根伏図とは建物を上空から見た図面です。いわば屋根階平面図または上方立面図です。(※配置図を参照)描き方は平面図または立面図の項目を参照してください。
VectorWorksデータ:siteplan04.zip
関連用語:
配置図
配置図に掲載する屋根伏図には建物の影を描き入れる場合もあります。特に計画した建物を明確に示す場合や高さ、立体感、位置関係などを示す場合などに有効です。
影の描き方はアクソノメトリックの描き方と共通していますので、詳しくはアクソノメトリックの項目を参照してください。
VectorWorksデータ:siteplan05.zip
図面は図面名称・縮尺と、配置図の場合は必ず方位を記載しなくてはなりません。これがないと配置図は図面として完成していません。
各々の図面に、各々の図面名称と縮尺を記載してください。つまり1枚のシートに4つの図面をレイアウトする場合は、それぞれに1つずつ、計4つの図面名称と縮尺を記載することになります。
VectorWorksデータ:siteplan06.zip
技法・解説:
図面名称・縮尺の示し方
方位の示し方