断面図は設計内容の空間が最も良く表われます。決まった箇所を切断して描く平面図や立面図とは異なり、断面図の切断する位置は設計者が自由に設定する特別な図面です。計画した建物の魅力が最も表われる箇所を注意深く選択し、図面を描きましょう。
平面図は建物を「水平面」で切断した、いわば水平断面図ですが、断面図は建物を「垂直面」で切断しその切口を見た図面です。寸法の示し方などの細かい点を除いて、描き方はほとんど同じです。
水平面と垂直面の両者を見比べることで、やっと建物を立体的・三次元的に把握できるようになります。したがって、断面図は平面図と共に考えていかなくてはなりません。縮尺も平面図と揃えるべきでしょう。
関連用語:
断面図
断面図の描き方は平面図と同じ、「ダグラス邸」の縮尺1/100の図面を題材に、大まかな描き方の流れを説明します。
ダグラス邸の完成断面図
断面図のVectorWorksデータ:douglashouse.zip
断面図を描く場合には、その切断した位置を明確に示すために、「平面図」または平面図を簡略化した「キープラン」に「a-a'」と、その切断面を示します。また、その切断面の断面図は「a-a'断面図」という図面名称になります。
なお、断面図は空間を描く図面です。その切断面に断面図に柱の縦の切断面が表われるような位置では、柱と壁の区別がなく、空間の様子が分かりません。必ず空間構成と空間の魅力が充分に伝わる位置で切断するようにしなくてはなりません。
断面図の描き方は、平面図の描き方とほとんど同じです。
まずは敷地のG.L.ライン、そして基準線と補助線を引くことから始まります。
ただし、断面図では高さ方向を決める基準線を床レベルの上端に合わせて引きます。(つまり平面図と異なり、断面図の基準線はスラブの中心ではなく、上端に合わせる。)「天井高」、「階高」、「全体高」の位置に基準線を引きましょう。
通常、G.L.は最も太い線で引かれる。
VectorWorksデータ:section01.zip
技法・解説:
道路の描き方
関連用語:
G.L.ライン
次に「切断面」を「太線」で描いて行きます。
CAD製図の場合は、描く断面図の上方に位置と方向を合わせた平面図をコピーしておき、そこから垂線を降ろして断面図の参考とすると効率が良いでしょう。
断面図の場合は、平面図とは異なり、階段やスロープも切断面をそのまま描きます。
また、断面図には「梁成」や「天井懐」、「パラペット」などが現れます。これらの要素についても充分に検討をしてください。
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CAD製図の場合の断面図の描き方の一例余計な線を削除した平面図を上方に配置し、そこから垂線を降ろして断面図を描く場合の様子。
技法・解説:
壁・柱・梁の描き方
線の強弱
関連用語:
梁成
スラブ
天井懐
パラペット
天井高
階高
その断面図上に表われる「窓」や「扉」などの開口部を「細線」で描いていきます。
これで、その断面図を描くために垂直面で切断された部分を、全て描いたことになります。外部と仕切られた内部空間の位置が表われます。
VectorWorksデータ:section03.zip
技法・解説:
窓の描き方
扉の描き方
線の強弱
建物を切断する垂直面の切口から見た断面図でも、平面図と同じように見える「見え掛り」の部分を全て描きます。
見え掛りの「スラブ・梁・柱・階段・段差・腰壁など」を「中線」、「手摺・家具など」を「細線」で描きます。平面図とは異なり、断面図では階段やスロープの表記の省略はありません。見え掛りのまま描きます。
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技法・解説:
線の強弱
寸法と室名を記入していきます。垂直方向の寸法は、下図中にあるように、全体高・各階高・天井高を記載します。
平面図と同様に、この際注意しなくてはならないのは、本来形を示すための図面であるので、図面の線と交わったり被ったりしないことがマナーです。
また、これまでの基準線や補助線などを、図面が見やすくなるように整理しましょう。
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技法・解説:
寸法の示し方
断面図は「図面名称・縮尺」と「室名」を記載して完成です。
また、必要に応じて図面に着色を施します。
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技法・解説:
図面名称・縮尺
図面の着色
断面図には外構計画と接地道路の幅員などを含め、内部空間と外部空間の関係をもて描くことが望ましい。
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技法・解説:
道路の描き方