それぞれの階を描く平面図ではアトリウムなどの吹抜、つまりその階において床スラブがない内部空間、の表記に決まり事があります。また、その平面図に描かれた階の直上階に吹抜がある場合にも決まり事があります。
その階に吹抜がある場合は、「細い1点鎖線」で×を描き、そこに床がないことを明示します。
その階の直上階に吹抜・庇などがある場合は、その輪郭線を「細い破線」で描き、上部において何らかのモノがあることを示します。細かい所だと、キッチンの吊下げ棚なども、直接平面図には描写せず、破線で示します。
なお、「見え掛りを表す実線」と「直上階の形状を示す破線」とが同じ位置にあり、これらの線が重なってしまうことがあります。その場合、「直上階の形状を示す破線」の方をすこしずらして、その破線をきちんと表示する必要があります(下図のダグラス邸2F平面図の一部を参照)。
技法・解説:
壁・柱・梁の描き方
階段の描き方
地下階の描き方
関連用語:
アトリウム
以下にダグラス邸の1F〜4Fの図面を掲載していますので、平面図上での上下関係の描き方を注意して、それぞれの図面を見比べてください。
ダグラス邸4F平面図の一部吹抜部分に「1点鎖線」で×を描く。また、屋上の外部空間において、屋根のある部分と内部分が「破線」で描き分けられている。
ダグラス邸3F平面図の一部吹抜部分に「細い1点鎖線」で×を描く。その上で、直下階にある形状が描かれている。
また、左下の外部空間の箇所では「破線」が描かれており、4Fの形状が窺い知れる。この破線は正確な位置よりすこしずらして描かれている。
ダグラス邸2F平面図の一部図中中央の吹抜の右側にある腰壁は手摺を兼ねているのだが、この腰壁を表す線と3Fの吹抜を表す線は、正確な位置で描くと重なってしまう。しかし、破線を少しだけずらして描かれているので、点線を見ることができる(図をクリックして拡大してください)。ちなみに図中にあるように、そこより上下にある壁を示す「切断面を表す実線」の部分と、その点線はずらさずに表現することもある。
「直上階の形状を示す破線」の方をずらす理由は、「見え掛りの形態を示す実線」は実際の形を表す重要な線であり、「直上階の形状を示す破線」は記号線であるから。
ダグラス邸1F平面図の一部図中の右端の中程にあるキッチンに描かれた破線は、この上部に吊り棚やフードがあることを示している。