建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. 建築の設計過程 TOP
  3. 01 条件
    1. 01-1 要因の把握
    2. 01-2 要因の捉え方
    3. 01-3 設計条件の定義
  4. 02 構想
    1. 02-1 コンセプト創出
    2. 02-2 建築計画の検討
    3. 02-3 提案の組立
  5. 03 具現
    1. 03-1 構想の形態化
    2. 03-2 構成の検討
    3. 03-3 図面描写
  6. 04 表現
    1. 04-1 表現する目的
    2. 04-2 素材と表現方法
    3. 04-3 表現の構成

建築の設計過程 (12 MATRIX)


概要 01条件設計の目的と要因 02構想コンセプトと構想 03具現空間の具現化 04表現設計内容の表現
理論 01-1要因の把握設計の目的とそれに伴う要因の発見と発明 02-1コンセプト創出設計条件を踏まえた設計の軸の整理・創出 03-1構想の形態化現実性と説得力の兼備した空間 04-1表現する目的プレゼンテーションの目的と戦略
手法 01-2要因の捉え方要因の調査・研究・咀嚼した上での検証・解釈 02-2建築計画の検討コンセプト、スタディと建築計画の検討 03-2構成の検討リアリティと具体的形態の付加 04-2素材と表現方法適切な素材とコンセプトの表現
実践 01-3設計条件の設定要因の整理と優先順位の設定から設計条件へ 02-3提案の組立コンセプトを体現する提案としての必要な要素の組み立て 03-3図面描写建築の最終形態を定めた図面と製図 04-3表現の構成プレゼンテーションの構成と効果の確認

関連用語:
コンセプト スタディ ダイアグラム


12 MATRIXの使い方

上図は設計の各段階でのポイントを示しており、即ちそれは演習課題においての学習内容と評価ポイントの目安となります。まずはこの章で各段階のポイントや設計における位置付けなど、設計の概念的な過程とその内容をしっかりと把握し、設計に対する理解を深めましょう。また、演習課題に取り組む前、課題で戸惑った時、そして課題を終えた時にこの章を熟読し、大学での学習の参考として下さい。
なお、演習課題によってはこれらの項目がそのまま当てはまることは少なく、また全ての項目が要求されるわけではないかも知れません。しかし自身が現在行っている課題や作業が設計のどの段階であるのか、または建築設計のどの範囲を学習するためのものであるのかを把握し、これらの項目を常に意識しながら課題に取り組むと目的をより良い形で達成する事ができスムーズなステップアップが図れるでしょう。またシラバスに記載されている各課題のページに示された関連表や評価基準とも照らし合わせると、学習内容を把握する参考となるでしょう。
しかし断っておかなければならないことは、実際の設計は上のマトリックスのように概念的な過程に沿うことは少なく、それぞれの段階を順にステップアップしながら一様に進行するものでもありません。上図に示した設計のそれぞれの段階は互いに複雑に関係しており(セミラチス)、それらの輪郭は明確ではなく曖昧です。設計作業のごく一部分を取り上げても、その部分での条件整理があったり実際に作業を進めるために具現化しなくてはならなかったりします。設計が目的を持っているのと同様に、各段階での各作業それぞれにも目的があることを考えると、設計作業自体はフラクタルだと言えるでしょう。
00-01 デザインプロセスのダイアグラム (Charles Eames)
デザイン(設計)の過程は、さまざまな要素が複雑に絡み合い、複合的に構成される。
出典:『Eames Design』, 1989, 'Harry N. Abrams, Inc.' 従って、ある一つの項目について熟考したが分からない、解釈ができないからといって、そこで立ち止まるよりは一旦先に進んでしまうということをお勧めします。先に進むことで後ろの項目がより鮮明に見えたり、理解が促されることもあります。むしろ、目の前にある結果からその理由を理解することの方が多いでしょう。
また、建築を設計する上である種の割り切りの良さは必ず持っていないといけない場面があります。もちろん、何時までも悩んでいても勝手にカタチにはなってくれません。それを戸惑いの深みにはまる前に割り切って次に進み、そして目の前にある進めた案を見つめ直し、しっかり分析してみましょう。そこで何が足りないのか、何を考えなければならないのか、何をしなくてはならないのか、を冷静に検討してみましょう。そこからコンセプトなどを振り返って整理し、繰り返し検討やスタディを行うことで新しく気付くことやコンセプトをより強化する事、さらに案を発展させることなどを思いつくことも非常に多いです。また、その繰り返しを数多く行うことで良い建築と飛躍していくことも多々あります。多々あると言うのはむしろ控えめな表現で、そうしないと良い建築を設計できないと言い切ってしまっても過言ではありません。
始めのうちは設計を行うことに戸惑い、慣れないことも多いかも知れませんが、「若気の至り」という力強い言葉もあります。まずは恐れずとりあえずやってみることが大切です。とにかく、「手を動かす」そして実際に設計とは何かを体感することが最も重要です。
関連用語:
コンセプト スタディ ダイアグラム セミラティス フラクタル
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01 条件 −目的と設計−