(不規則な断片の意のラテン語「fractus」に由来)
部分が全体と相似となるような図形やその概念。リアス式海岸や雲、山の形などの複雑な図形、多くは自然界に見られる造形に見いだせる。
1960年にフランスの数学者マンデルブローにより新しい幾何学の概念として用いられた。
建築では原広司が京都駅ビルなどに積極的にその概念を取り入れ、独特な造形を行っている。
三陸のリアス式海岸。左図のリアス式海岸の一部を切り取って拡大しても左図のように、同じような(相似な)図形になる。同じように砂粒の形まで拡大したとしても、その形は航空写真でみるリアス式海岸の輪郭線と同じような図形になる、ということ。
フラクタルの説明として最もよく使われる三角形の組合せ小さな▲が組み合わさることによって、その▲より大きな▲が構成されており、その大きな▲自体も、それより大きな▲を構成する一つの要素に過ぎない。逆にから言うと、全体の▲の形態に相似な形態である▲で、全ての要素が構成されている。
つまり全体も部分も全て同じ▲である。
ちなみに建築は全体の空間構成から構造形式、プログラム、機能計画、動線計画、素材、ドアノブに至るまで、共にコンセプトを充足させる。そこでは全体と部分の関係は極めて曖昧になり、部分は全体に属すのではなく、全体のコンセプトが各部位にまで浸透していると考えることができる。そう言った意味で、建築はフラクタルだと言えるだろう。
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セミラティス