構想段階において、最も有効な発展の方法はスケッチやスタディなどで手を動かしながら、考えをまとめて行く方法でしょう。しかしただカタチと格闘するのではなく、建築設計ではさまざまな留意点があります。配置計画、動線計画、構造計画、防災計画、面積配分および形態などの建築計画的な側面、そしてなによりそれぞれの留意点とコンセプトの関係などを考慮しながら、コンセプトが成立しそうな建築のカタチを、スケッチやスタディを重ねる中で模索していきます。
設計主旨やで「どの様な空間であってほしいのか」という基本方針を決めたなら、もちろん次にはその空間をどの様に組み立てるのかを模索しなくてはなりません。建築は形態にしようとした途端に、配置計画・動線計画・構造計画・防災計画・面積配分などの建築計画的な側面が具体的に求められます。建築計画と一口に言ってもその範囲は非常に広く、ボリュームの検討から階段の蹴上の高さや手摺の形状の検討までがその範疇に含まれます。もとより建築計画とは建築の雑学に非常に近いものであり、現在ではおおよそが設計手法として体系化されてはいるものの、その定義は曖昧です。しかし言葉の定義はともかく、この段階では敷地にどの様に建物を配置するのか、アプローチ、動線、構造、防災、面積に至るまで、設計主旨やコンセプトを実現するために具体的にカタチを提案できなければなりません。
関連用語:
コンセプト
スタディ
動線
構造
ゾーニング
ボリューム
2方向避難
敷地
延床面積
スタディを繰り返す際には、その敷地に対して建築のボリュームはどう配置されているかという配置計画から、それぞれの人の動線計画、各部屋はどのぐらいの大きさや面積でどの様に配置され、そしてそれぞれに部屋はどの様に繋がっているのかなどの、建築計画的な側面を同時に検討していきます。さらにその形をもたせるためにどのような構造にするのかなどの構造計画などもこの段階で考えておかなくてはならないでしょう。課題ではコンセプトを体現するのに最も適した形態を設計する事が造形の評価にも繋がります。ただコンセプトを実現した消極的な空間を用意するのではなく、そのコンセプトを体現するのに最良のカタチを模索しましょう。しかしそれは実現が可能であり、建築計画的な側面を満たしつつ、つまり機能条件と実現性を満たしているカタチを模索しなくてはなりません。
またこの段階で特に検討が必要なことは、建物が敷地に対してどの様に建っているのかということでしょう。基本的に建物はある場所に存在することが運命付けられたものですので、どうしても周辺環境を考慮して設計せざるを得ません。この場所はどの様な場所でそこから何が見えるのか、どの様に使われるべきなのか、周辺からこの建物はどの様に見られどの様にアプローチするのかといった事までしっかりと考えてみましょう。特に建物への導入手段は重要です。そうでないとこの建物はその環境の中でどの様な位置付けにあり、どの様に関わっているのかという事が見えません。建物内部を提案するだけではなく、どの様な人がどの様にどの様な時にこの建築を訪るのかまで考えなければなりかねません。それはこの場所でこの建物がどうあって欲しいのかということでしょう。つまりその敷地での建築の在り方、さらにはその建築の存在意義とも言えるかも知れません。
関連用語:
外構
敷地
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03-2 構想[実践] −提案の組立−