建築を表現するメディアには、文章・ダイアグラム・図表・図面・アクソノメトリック・C.G.・スケッチ・写真・模型・音声・動画・絵画に至るまで、実に様々なものがあります。さらに各々の表現方法も多様にあるでしょう。プレゼンテーションはこれらのメディアと表現方法を駆使して設計内容を伝えなくてはなりません。それらの中から提出物や提出方法などの条件に沿ったもので効果的にプレゼンテーションするためには、どの素材でどのように表現するのかをまず考えてみましょう。そのためには、まず「何を表現するのか」をしっかりと見据えないとなりません。
コンセプトや熱意、また空間や造形の魅力、さらに自分はどの様な想いをこの建築に抱いているのかをまずは整理しましょう。これはプレゼンテーションにおける条件の整理です。この設計にはどのような魅力があるのか、そしてそれはどの様な効果を生むのか、設計の結果として現れる空間はどのように魅力的なのかなど、設計者自ら設計した内容をしっかりと見つめることから始めます。さらにそれは一体どういったものであるかを分析しましょう。それは誰が教えてくれるわけでもなく設計者の想いに因るところが大きいものですので、今まで行ってきた作業の中で考えたことを思い起こし、必要充分な伝えるべき内容を整理しましょう。もちろん、その想いを伝えるための客観的な視点は必要になります。その想いをどの様に表現するのか、最も効果的で共感を得られる表現はどの様なものか、そういったことをまず咀嚼・反芻して客観的に捉えなければなりません。そこに理論的な整合性と展開が求められるでしょう。
マニュアル:
模型制作マニュアル
写真撮影マニュアル
関連用語:
ダイアグラム
アクソノメトリック
多くの場合で言えることは、プレゼンテーションの受け手はまず全体像を把握することを求めます。どういったものか分からないものの説明を延々と聞くのを耐えてはくれません。それは日頃の会話や説明を受けるときの場面を思い起こして頂けると簡単に想像がつくことと思います。広告のキャッチコピーや新聞の記事の書き方などを分析すると、説明する場面において全体をまず掴ませることが重要であることが簡単に理解されることでしょう。
伝えたいことが整理できれば、それを伝えるためにどうすれば良いのか、どの様な素材をどの様に表現し、どの様な順序で構成すれば良いのかといった、プレゼンテーションの戦略がが見えて来るはずです。
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04 表現[手法] −素材と表現方法−