コンセプトConcept


概念、観念の意。設計のもとにある考え、意図のことを指す。

私たちが建築の設計をするとき、例えば、はじめに「明るく開放的な空間を作りたい」という明確な意図があるとする。そこから、ガラスで囲われた透明な空間というイメージが導かれ、模型やスケッチによって、その空間をヴァーチャルに体験してみる。すると、やはり何かが違うと感じ、明確であったはずの意図が揺らいでゆく。そのとき、何の根拠もないカタチを思いつき、それをスタディしてみるとそちらのほうが、「面白い」ことに気づき、なぜそのように手が動いたのかと考える…
通常、設計のスタディ段階では、そんなふうに、カタチとコトバが相互補完的に、イメージを高め合い、発展してゆく。
コンセプトとは、この、カタチの奥に潜む意志のことなのである。
そのコンセプトは、例えばエスキスチェックなど、他者のまなざしにさららされることによって、自分では考え付かなかった側面から、その妥当性を推し量られることになる。自己完結的な世界ではなく、そのようなコミュニケーションを通して、案は大きく展開していく。

そんなプロセスのなかで、案は鍛えられ、コンセプトは転換しながら、着地点へたどり着く。そして、今度はその結論を示すためにもう一度整理されたコンセプトが示される必要がある。

設計に正解は用意されていない。だからこそ、自分の設計の固有性を認識し、それがどこに位置付けられるのかを、理解する必要がある。コンセプトは、その位置を把握するために必要な思想ともいえる。
関連用語:
スタディ エスキス ダイアグラム コンペティション