設計条件の設定を行ったならば、いよいよそれらの要因を考慮した、目的に最も良く適うカタチを導き出して行きます。この「目的に最も良く適うカタチ」を模索するのが構想段階だと言えるでしょう。つまり要因から導き出された設計条件とそれに対応する要素、そして設計における軸となるコンセプト、それらを取りまとめて目的を適えるカタチを模索します。設計において、最も苦しくそして最も楽しい段階でもあります。
建築設計の構想段階では、条件整理から建築を具体的な形態として創造するために、それらの設計条件を踏まえて設計の方針を定めて行きます。そのためには設計条件が構想を練ることができるまでしっかりと整理されて設定されていることが求められるのは言うまでもありません。しかし必ずしも完璧に設計条件が設定されていないと構想が練れないかと言うと、そうでもありません。多くの場合、最終的な設計条件の設定と構想の練磨はほぼ同時に、並行して進めることになります。構想を練るのはスケッチやスタディを行うことで進めていくことがほとんどですが、そのスケッチやスタディを行うことで設計条件をよりしっかりと把握でき、設計条件の設定が充実されます。そしてそれを基にスケッチとスタディを繰り返し重ねることでその両方を発展することになります。そうすることで設計の軸となるコンセプトを確立させ、設計をより魅力的な提案とすることができるようになるはずです。
関連用語:
エスキス
スタディ
コンセプト
コンセプトとは頭で考えるよりはスタディを行うことで見つけたり確定したりするものであることを強調しておきます。「体で考える」と言われるように、とにかく手を動かして模索することが大切です。頭だけで考えて見つかるコンセプトなど、きっと簡単なものでしかありません。条件やコンセプトを整理しつつ、設計をどんどん進めることが大切です。迷ったらとりあえず進んでみる、そして進めて考え直すという作業が、設計をする中で最重要なことであることを念頭に置いて、作業に取り組んでください。
特にこの段階では知力と体力が求められます。また、建築家の作品集や実際に建築を訪れることなどもインスピレーションの手助けになってくれる場合があります。しかし最も重要なのはそのインスピレーションが得られるまでとにかく作業を手や足を繰り返し動かすことです。
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02-1 構想 [理論] −コンセプト創出−