スタディを重ねて充分に案を発展させることが出来たのなら、または作業行程における期限が近づいたのなら、それまでに行った作業を整理し、提案として組み立てましょう。ここで建築のコンセプトと大まかな構成を確定しなければなりません。その要点として、目的の達成のためにはどのようになるのか、どのようなコンセプトで、またはどのように空間を捉えるべきか、そしてその構成やカタチをきちんと組み立ててます。
これは建築の計画や方針、どのような空間にするかを提案(プロポーザル/Proposal*)することです。この段階で設計条件とそこから落とし込まれたコンセプトをまとめて、施設として、建物として、空間をどのように捉えて どのような場所にするのかをしっかりと確認しておかなければなりません。この点を押さえておかなければ、事項の具現化の段階で何をどう具現化しなければならないかが定まらず、上手く空間を形づくることもできないでしょう。しっかりと提案を組立ずにいきなり図面を引くことなどできません。
具体的には、全体の形態はコンセプトを充分に反映しているか、建築計画的な側面は目的に適っているか、それぞれとコンセプトとの関係は適切か、などに留意しながら案を整理します。つまり全ての要素がコンセプトを充足し、充実させ、さらにはよりコンセプトを強化させるようにしなくてはなりません。もちろん目的に沿うよう組み立てるべきであるのは言うまでもありません。そのためには全ての要素が理論的に整合性を持って展開しているかも重要なポイントです。
提案をしっかりと組立てることができれば、いよいよ建築のあるべき姿が見えて来るはずです。もし納得いかない部分や齟齬があるようでしたら、何故そう思われるのかを考察し、もう一度スタディを重ねましょう。設計の進め方よって異なるかも知れませんが、この作業を2度3度と繰り返す方が良い提案になるに違いありません。作業工程には充分なゆとりを持って作業を進めましょう。
関連用語:
スタディ
コンセプト
プロポーザル
用・強・美
また、いくら構想してもカタチが見えて来ない場合は、コンセプトの発展が不充分、もしくは要因の把握と整理、設計条件の設定が不充分である可能性があります。その場合、とにかく一端は次の具現化段階まで進めてしまい、そこから要因をより具体的に把握する方法もありますが、とにかくもう一度設計条件の設定に立ち返ってゆっくりと設計条件を咀嚼してみてください。または構想に役立ちそうな資料や作品集などに数多く触れることも重要です。
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03 具現 −構想の形態化と現実性−