セミラティスは、多くの要素が形成している大きな複雑なシステムの構造を指す言葉であり、多くの場合ツリー(ツリー構造ともいう)と比較して用いられる。ツリーでは各要素の集合に全く重なり合いがない(下左図)。しかしセミラティスでは一つの要素が様々な集合に属している(下右図)。つまりツリーでは要素間の相互関係が限定されるのに対し、セミラティスは多様で複雑な関係が成立している構造である。
馴染みの深い例だと、コンピュータのフォルダ(集合)とファイル(要素)の構成はツリーである。しかしエイリアス(ショートカット)を用いることでセミラティスとなり、一つのファイル(要素)が複数のフォルダ(集合)に属することとなる。
有名な論文「都市はツリーではない」("A City is Not a Tree", 押野見邦英訳『Design』1967年7・8月号)の中で、クリストファー・アレクサンダー(Chistopher Alexander)はこの概念を用いて、都市という多様体の構造を正確に捉えるためにはツリーではなくセミラティスの思考で読み解かなくてはならないとし、既存の都市計画を批判した。
ツリー(右図)とセミラティス(左図)
出典:クリストファー・アレグザンダー(押野見邦訳)『Design』1967年7・8月号
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