用・強・美Firmitas, Utilitas, Venustas


古代ローマの建築家、ウィトルウィウス(ヴィトルヴィウスとも - Vitruvius)が紀元前1世紀にラテン語で書いた十巻の著作「建築十書(De Architectura)」の中で唱えた建築の3つの立脚点(ratio)。建築を考えるときは用(機能)・強(構造)・美の関係を考慮し、理を保たなくてはならないとした。「用・強・美」は、どれかが欠けても肥大してもならないものであり、建築においては「用・強・美」の全ての要素が過不足なく成立しなくてはならない。その考え方は建築設計において求められる根本的な要素と考えられ、現在でも数多く引用され続けている。
ちなみにロゴスのラテン語が「ratio」であり、ロゴスとは「比」すなわち「関係」を意味し、「論理」という意味もある。また、「ratio」は英語やドイツ語で「合理的」を意味する「rational」の語源となった。

森田慶一訳「ウィトルーウィウス建築書」(東海大学出版会, 1969)に詳細が掲載されているので参考文献として紹介しておく。
関連用語:
構造(構造体) プログラム