建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. 池永 誠之
  3. 乾 陽亮
  4. 井上 晋一
  5. 植南 草一郎
  6. 小野 暁彦
  7. 小池 志保子
  8. 小杉 宰子
  9. 清水 愛子
  10. 竹内 正明
    1. 「表現」に潜む論理性
    2. 「学ぶ」ことと積極性
    3. 創造行為としての「調べる」
  11. 谷村 仰仕
  12. 富家 大器
  13. 野上 珠理
  14. 日高 奈々恵
  15. 山田 由希代

「表現」に潜む論理性竹内 正明:環境デザイン演習[建築]II-1,2添削担当/DDLベーシック2D、DDLコンセプチュアルデザイン担当


いつ、どこで、誰に、何を、どのように見せるのか?
表現という行為は、自分の考えを他人に理解させようとすることだと言えます。それゆえ、有効な表現をおこなうためには、どういった人を対象にしているのか、どのタイミングで見せるのか、どういった内容を見せるのか、どのように見せるのか、ということを論理的に考える必要があります。表現者には、常に論理性が求められると言っても過言ではありません。
さて、建築設計において想定される表現とはどのようなものがあるのでしょうか?
ひとつの建築を表現するにしても、スケッチ、図面、模型、CGなど、いろいろな方法があります。そして、それぞれの方法にはメリットやデメリットがあります。また、場合によっては、複数の手段を用いる必要も出てくることでしょう。
ではここで、ピーター・ズントーが設計したブレゲンツ美術館を例に、表現方法の違いについて少し述べてみたいと思います。
図1は外観の様子です。この建物は、ファサード全面がガラスで覆われており、光の変化が強く意識されています。図2は配置図です。建物のすぐ北側には湖があるのですが、これを意識的に強調した表現となっています。図3は建物内部に入ってくる光の様子をスタディしたスケッチです。壁の配置に影響される光の入り方が意識的に表現されています。図4は平面図です。壁が黒塗りで強調されており、光りを通すガラスのカーテンウォールと光を遮断する内壁との対比が意識的に表現されていることがわかります。図5は外壁部分のディテールを示す平面詳細図です。ガラスのカーテンウォールの構成が詳しく示されています。また、内壁は黒塗りで表現されており、平面図同様、光を遮断する存在として強調されています。
このように、ひとつの建物でも、いろいろな角度から表現できます。そして、それぞれの方法によって、表現するポイントは変化します。しかしながら、すべての方法において、光の様子を強く意識した表現となっています。
とにかく、何かを表現しようと思ったときは、「いつ、どこで、誰に、何を、どのように見せるのか?」ということをよく考えて、論理的視点から有効な表現方法を模索してください。これは、極めて当たり前のことなのかもしれません。しかし、もっとも重要で、忘れがちなことでもあります。
関連用語:
study カーテンウォール