カーテン・ウォールCurtain Wall


建物の自重や積載荷重などの荷重を負担しない壁の意。特に高層建築においてパネル化した外壁を指すことが多い。要するに構造にその位置を左右されずに、空間を仕切るためだけに存在する境界面である。

カーテンとは、光や音を遮ったり部屋を仕切ったりするために窓や室内につるす布のこと。つまりカーテン・ウォールとは荷重を負担しないペラペラの壁であるという意味として使われている。一面がガラスである壁面なども、もちろん建物の荷重を支えているわけではないのでカーテンウォールと言える。カーテン・ウォールにもマリオンなどの風力に耐える(小さな)構造は存在するが、建築の自重や積載荷重を支える主構造は含まない。

日本の木造建築を良く知る我々にはあまり馴染まないかも知れないが、西洋建築において壁は構造体であり建物を支える主たる役割を担っていた。近代以降には、コルビュジエのドミノ・システムが代表するように、壁と構造体は別々に捉えられることになったが、近代以前は「壁=構造体」であり、その配置や表現はその建物を支えるという任により制限されていた。つまり建物全体を荷重を支えないガラスで覆うということなどは考えられなかった。もちろん「水平連続窓」も途中で一旦壁が断絶しており、水平連続窓が配置されている壁は荷重を支えられない(もちろんそれを表現するためにもコルビュジエは「5原則」の一つに挙げているわけだが)。「壁=構造体」であった時代では、その配置も構造的バランスを考慮しなければならず、コルビュジエの平面図に描かれる自由な曲線のような空間は見当たらない。平面図に自由に描かれる構造体でないペラペラの壁は、近代以降に出現した、実は比較的新しい、荷重を支えない壁−カーテン・ウォールである。

01 仙台メディアテークのファサード建物の本体から少し浮いて取付けられており、カーテン・ウォール(非耐力壁)であることが表現されている。
関連用語:
近代建築の5原則 ドミノ・システム キャンチ・レバー 構造体