建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. 池永 誠之
  3. 乾 陽亮
  4. 井上 晋一
  5. 植南 草一郎
  6. 小野 暁彦
  7. 小池 志保子
  8. 小杉 宰子
  9. 清水 愛子
  10. 竹内 正明
    1. 「表現」に潜む論理性
    2. 「学ぶ」ことと積極性
    3. 創造行為としての「調べる」
  11. 谷村 仰仕
  12. 富家 大器
  13. 野上 珠理
  14. 日高 奈々恵
  15. 山田 由希代

創造行為としての「調べる」竹内 正明:環境デザイン演習[建築]II-1,2添削担当/DDLベーシック2D、DDLコンセプチュアルデザイン担当


無から何かを創造するのは本当に難しいことです。むしろ、これまでになかったものは何か、という視点から、新しい発想は生まれてきます。
普段の私は、建築の設計活動に従事しながらも、戦後日本の建築史を研究したり、WEBページ上で建築に関する文章を書いたりしています。何らかの文章を記すとき、既に誰かが言ったこととは違う何かを述べなければ、自分が書く意味がないと考えています。
では、確信をもって文章を書くためには、何をしなければならないのでしょうか?
答えはいろいろあるかもしれません。でも私自身は、誰がどんなことを言っているのかを知る、ということにあると考えています。自分の書こうとする内容に関連する文献を出来る限り多く集め、それらすべてに目を通したうえでじっくり考え込まなければ、自分が何を書くべきなのか、ということが私には見えてきません。こういった行為を「調べる」と言うのだと考えています。
建築設計においても同じことが言えると思います。
例えば、住宅を設計する場合を考えてみてください。これまでになかった新しい住宅を設計するためには、他の人がどんなことを考え、どんな回答を提示してきたのか、ということを知る必要があります。なぜなら、自分の考えたことが本当に新しいことなのか、ということを知らなければ、自分の提案の新規性が判断できないからです。すなわち、他の人の回答を知ることで、何が新しく、何が古いものなのか、という判断基準を持つことになるのです。このように、設計行為においても、「調べる」ということは極めて重要な要素だと言えます。
文章にしろ、設計にしろ、何かを新しく創造する行為は、すべて同じ位相に存在すると言えます。なぜなら、何が新しく、何が既に発見されていることなのか、という判断を下すためには、自分自身のなかにしっかりとした判断基準を持たなければならないからです。
人とは違う何かを見つけるために、「調べる」という行為の意義が存在します。そして新しい創造は、「調べる」という行為があるからこそ生まれてくるものなのです。