建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. 池永 誠之
  3. 乾 陽亮
  4. 井上 晋一
    1. 多目的空間?
    2. 関係性をデザインする
  5. 植南 草一郎
  6. 小野 暁彦
  7. 小池 志保子
  8. 小杉 宰子
  9. 清水 愛子
  10. 竹内 正明
  11. 谷村 仰仕
  12. 富家 大器
  13. 野上 珠理
  14. 日高 奈々恵
  15. 山田 由希代

多目的空間?井上 晋一:環境デザイン基礎1,2(建築)添削担当/DDLプレゼンテーション担当


 よく「多目的空間」という名の「無目的空間」が存在する。ここで言う「多目的空間」は「均質空間(*1)」や「ユニバーサルスペース(*2)」と意味が違う。「無目的空間」は5W1Hがほとんど考慮されていない空間である。自由な(無責任な)空間は利用者にその利用方法・目的を考えさせる。5W1Hは、Why(なぜ)、What(なにを)、Who(だれが)、Where(どこで)、When(いつ)のそれぞれの頭文字をとった5Wに、How(どのように)の1Hを加えたものであり、文章を構成する際などの基本的な要素として用いられる。空間を構成する際も状況に応じた5W1Hを設定すべきである。
 設計行為とは、生活(life)と空間(space)の対応構造を創造する行為といっても過言ではない。生活を様々な行動(activities)が重なり合ったものと考えると、建築空間は様々な行動に対応した「多目的空間(≠無目的空間)」でなければならない。
 例えばアトリエ空間は、多くの作業が行われるいわば「多目的空間」といえるだろう。「かんがえる」「かんじる」「くみたてる」「あらわす」等の作業工程が存在し、それぞれに様々な行動(activities)がつきまとう。この「かんがえる」「かんじる」「くみたてる」「あらわす」といった工程は、それぞれが独立・完結しているものではなく複雑に絡み合ったものである。「かんがえる」作業を一つの単位空間(*3)に設定すると、その単位空間は「かんがえる」という様々な動作空間(*4)の重ね合わせであると同時に、その他の単位空間との複雑な「関係性(*5)」も重要となる。

01 fig1. 単位空間同士の関係性 図版作成:著者 (*1, *2):いかなる用途にも適応するように、特に目的を定めない無正確な空間。建築により利用者の生活を規定するのではなく、選択の幅を広げることを目指して現計画されている。現在のオフィスビルの多くはこうした空間から構成されている。ミース・ファン・デ・ローエが提唱したことで有名である。

ユニヴァーサル・スペース アクティビティ
(*3, *4): コンパクト建築設計資料集成〈住居〉,丸善株式会社,pp144,1992 (*3, *4):「関係性をデザインする」を参照

関係性をデザインする