もののとらえ方や考え方には、必ず何かその人なりの方法や特徴があらわれるといえる。直面した瞬間に、他の人が見過ごしてしまうものに反応したり、あるいは、その逆であったり。直感的であったり、論理的であったり。こうした感性は、一見では人によってどちらか一方に偏りがちに思えるかも知れない。しかし、実は意識次第で広いとらえ方が可能となるようにも思われる。
たとえば、せっかく備えている感性を無駄に過ごしてしまわないように、簡単にできる方法のひとつは、日常のなかにあふれる光景を少し意識的に見てみることである。意識的に見るとは、街や自然の風景、屋外や屋内を問わずに自分が反応したものの様子や佇まいについて、なぜ自分が反応したのか、しばし考えてみることである。
自分のアンテナに触れたものを切り取り、詳しく書きとどめておくことは、データとしての基礎的作業として必須である。問題は、そうして切り取られ、取り上げられた一コマに、制作者自身がどのような意味を持たせるかなのである。そこで重要になるのが、自分が感じたことや思いを人にどのように伝えるかという工夫になる。そのため、ふだん読まない本を読んでみるなど情報を蓄積しつつも、自分のなかにしっかり軸を持つことが大切となる。
インスピレーションとロジックを駆使することにより、個性は一層際立つはずである。