ユニヴァーサル・スペースとは可動壁や家具などを必要に応じて配置することであらゆる用途に対応できる空間。内部に現われる柱や壁などの躯体は最小限に抑え、自由で可変的な利用を目指す無特徴の空間である。現在のオフィスビルの多くはこのような空間を元に構成されている。
ミース・ファン・デル・ローエが提唱したことで有名。
20世紀を代表する美術館の一つに数えられるのポンピドゥー・センター(Pompidou Gerges Centre, 1977, Renzo Piano & Richard Rogers)は、モデュールに沿った自由に配置できる可動壁でさまざまな企画展示に対応する展示空間、ユニヴァーサル・スペースであった。
ポンピドゥー・センターの平面図
出典:レンゾ ピアノ『航海日誌』, 1998, 'TOTO出版'
しかし教会にも売春宿にもなる様な空間が本当に魅力的なのか、と現在では否定的な動きが見られ、近代の終焉と共にユニヴァーサル・スペースという空間もオフィスビル以外にはほとんど見られなくなった。
ポンピドゥー・センターが20世紀の最後の年に、特徴ある個性的な空間へと全面改修されたのはこのことの象徴と見なす評論家もいる。
しかし全てを受け入れる空間というフレーズは魅力的に聞こえるし、ユニヴァーサル・スペースも一つの空間の可能性を示したという点で評価すべきである。
関連用語:
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