東京サテライトキャンパスのある人形町近辺は、今、シングルからファミリー向けマンションの建設ラッシュが続いている。バブル崩壊後ようやく土地が動き出し、サラリーマンにも手が届く普通の物件ばかりだ。都心回帰の波が特に強く現れている地域の1つではないだろうか。
付近はオフィス街で、平日と休日で街はその表情をガラっと変える。平日の昼食時にはいったいどこからこんなに・・と思うほど人が溢れ出てくるが、休日は人に会うのも稀という感じである。(実際には、商店街や明治座があり別の人の流れも形成されてはいる。)
繊維関係の会社が多いこのあたりを歩くと、不況のあおりで今も倒産する会社に出会い、リノベーションやコンバージョンがなされたり、取り壊されている現場に遭遇する。そして、そこにマンションが出現する。
休日の夜、たまたま火事の現場に遭遇した。一番に駆けつけたのは地元の消防団。続けて消防車が続々と集まってきた。火事はボヤで済んだが、野次馬と消防団のおじさんが親しげに話していた。
そういえば、夕方になるとオフィスビルの1階シャッターが開いて前面の道路にはみ出しながら八百屋が出現したり、小振りのビルの最上階の窓から洗濯物が見えたり、人々の生活の断片が垣間見えていた。意外にも、このオフィス街でも人々が生活をしていて地域のコミュニティがしっかりと残っていたのだ。
都市はそこで人が生活を営んでこそ成立する。ヨーロッパの魅力的な都市を見ると、道路に近いレベルに店や仕事場、その上階に住居があることが多い。水平方向に棲み分けられているのである。幕張ベイタウンでも同様な考えをルールのひとつとして街づくりが行なわれている。職住混在することで、街の魅力を維持しようとしている。
ここ人形町では、結果的には垂直方向に分節された棲み分け構造にならざるを得ないが、新旧の住人のコミュニティがいかに形成され、それらがどんな風に都市の表情に表れてくるのか、一緒に見続けたいと思う。