建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. 池永 誠之
  3. 乾 陽亮
  4. 井上 晋一
  5. 植南 草一郎
  6. 小野 暁彦
  7. 小池 志保子
    1. 建築史と自分を繋ぐ旅
    2. 平面図を旅する
    3. 見極めること
  8. 小杉 宰子
  9. 清水 愛子
  10. 竹内 正明
  11. 谷村 仰仕
  12. 富家 大器
  13. 野上 珠理
  14. 日高 奈々恵
  15. 山田 由希代

見極めること小池 志保子:環境デザイン演習[建築]II添削担当/DDLベーシック2D、DDLコンセプチュアルデザイン担当


 あなたは何を良いものとし、何を良くないものとしますか?
 何かを見たり、聞いたり、作ったりするとき、それが良いのか、良くないのか、という判断に迫られることがあります。あるいは、手を加えた方が良いのか、現状のままが良いのか、ということを決めなければならないときがあります。こういった状況になれば、私たちは何らかの方法で判断するわけですが、そのときの判断基準の根拠をどこにどうやって見出すのでしょうか?
 ここで、スタディ、検討という行為が登場します。考えても判断が付かないときは、手や体を動かして、模型や原寸素材、スケッチなどを制作し、判断の手助けにします。
 このことを私自身の仕事を通じて、少し説明してみたいと思います。ある友人から、パーティー会場エントランスの演出を依頼されました。場所は、京都祇園にあるお寺の塔頭のひとつです。このとき設定した条件は、(1)設営・撤去が迅速におこなえること、(2)庭を傷つけないこと、(3)できるだけ少ない予算で演出すること、(4)会場に入るときと帰るときで雰囲気を一変させること、という4点でした。これら4点の解決方法として、サイリュームと風船を使用することにしました。このふたつは、どちらも安価で簡単に撤去できます。また、サイリュームは化学反応で光り、発熱しないため庭を傷めません。

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 当日までに、風船の配置、サイリュームの配置について現地で何度か実験をしました。図1は、実験風景です。現地で高さを確認し、それをコンピュータで再検討しています。図2と図3は、パーティー当日の写真です。検討の結果、一直線上の低い位置に風船が並んでいます。また、サイリュームについては、図4のように、間隔寸法を現地にて検討しています。そして、当日の夕方の開場時間の写真が図5で、夜の閉会時間の写真が図6です。
 このようにスタディの方法はいろいろありますが、自分が制作しているものを様々な方法で多様な視点から眺めてみることが重要です。そして、検討することが制作する上での発見や自信につながります。