建築学習 memo


  1. 環境デザイン演習[建築]デジタル教科書
  2. マニュアル TOP
  3. 図面製図マニュアル
  4. 模型制作マニュアル
    1. 模型制作に使う道具
    2. 模型の材料
    3. 部材の切り方
    4. 敷地模型
    5. スタディ模型
    6. プレゼン模型
    7. 模型ケース
    8. 技法・解説
  5. 写真撮影マニュアル

スタディ模型


スタディ模型概要

スタディを模型で行うとき、頭・目・手を連動させて、真に自分の考えと向き合うことが必要です。人に見せる必要はないものなので、誰にも遠慮はいらないのです。逆に説明的で上滑りなスタディをいくつ重ねても、得るものは少ないでしょう。コンセプトを考え、それがスタディ模型で視覚化されると、「ちょっと違う」「もっとこうした方がいいのでは」という考えが浮かんできます。それをおっくうがらずに、考えるスピードでどんどん模型に反映させていくのです。自分のイメージが保てる範囲であれば必ずしもノリも定規も必要ありません。そのうち、手が頭を超えて形を生み出してくれる一瞬に出会うかもしれません。そこで出来上がったものは決してでたらめなものではなく、理にかなっている場合も多いものです。しかしその場合も一旦引いて全体を眺めて判断する必要があります。スタディとは限りなく対象に接近し没頭する、そして引いて冷静に判断するということの繰り返しです。それが作る→壊すという設計活動のリズムへと繋がっていくのです。
関連用語:
スタディ コンセプト


ここでは、例として5Mキューブのギャラリーの開口部をスタディします。 ギャラリーは展示スペース、受付スペース、ソファスペースを持つとします。ギャラリーは高台にあり眺めが良いので、ソファスペースは開口部に面して設ける計画です。
実際にスタディ模型をどの様に利用してコンセプトとカタチを発展させるのかの参考とし、大学の課題の中で実践して下さい。

また、スタディ模型はプレゼンをする模型ではありませんが、撮影する場合は、何をスタディしたのかをよく表現するために、アングルと光の当て方などを考え、注意深くシャッターを切りましょう。


PHASE 01

01 受付の位置を、展示スペースやソファスペースのゾーニング動線を考慮して仮決めする。 関連用語:
ゾーニング 動線


PHASE 02

02 ソファのレイアウトを検討。向かい合わせでは会話はしやすいが、窓の外が見にくいか?などど検討。


PHASE 03

03 ソファは窓の外の景色を見ることを優先させて、並行に並べるレイアウトにする。


PHASE 04

04 開口部のスタディスタート。まずは全面壁面?


PHASE 05

05 開放的にしたいが、全面窓にするより受付とソファスペースで開ける・閉じるのメリハリをつけた方が内部・ファサードとも変化がでるのでは?


PHASE 06

06 ちょっとバランスがきつすぎるかもしれない。開けた部分のバランスを手探りで考えてみる。奥の展示スペースへの光の差し具合が極端すぎることも気になる。


PHASE 07

07 必要な所だけ開けるのも、面白いだろうか?


PHASE 08

08 とりあえず仮組して、実際に見ながら検討するため、ドラフティングテープで仮止め。


PHASE 09

09 腰壁があると、ソファに座るとき落ち着くかもしれない。それにピクチャーウインドウのように目線の部分だけ開けるというのもいいかもしれない。


PHASE 10

10 受付部分も切り取ったら、どうだろう?


PHASE 11

11 眺める人・くつろぐ人・働く人が、窓から見えて、いいかもしれない。内で眺める人を外から眺める。視線が交錯していると言えるかもしれない。コンセプトの説明に役立つな、メモしておこう。スタディを通して、一つアイディアを発見できた。


PHASE 12

12 それならいっそ、横長に切り取ってしまった方がすっきり見えるかもしれない。


PHASE 13

13 どうだろう。しばし眺めて検討。


PHASE 14

14 悪くないかもしれないが、やはり最初の開ける・閉じるのメリハリをベースに、もう一度考え直してみよう。


PHASE 15

15 光をさえぎるのに同質の壁ではない方法はないだろうか。


PHASE 16

16 ルーバーという手もあるか?


PHASE 17

17 ちょっと、受付にも当ててみる。あまり効果はないか?


PHASE 18

18 ルーバーの縦・横検討。横でいこう。


PHASE 19

19 受付の窓は、もっと必要最小限にして、ソファスペースとの距離を保ちたい。


PHASE 20

20 スタディ模型は考えるスピードで作るため、ざくざく切って、貼り付けていきましょう。


PHASE 21

21 ここに壁を作るとどうだろうか?


PHASE 22

22 まずはこれを一案としよう。


Herzog & de Meuronによる「Prada, Tokyo」のスタディの数々

03-01 03-02 03-03 03-04 03-05 03-06 03-07 03-08 03-09 03-10 03-11 03-12 出典:『a+u』 2002年2月臨時増刊 「ヘルツォーグ・アンド・ド・ムロン」, 2002, 'エー・アンド・ユー'
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Herzog & de Meuron「Prada, Tokyo」形態のスタディを数多く行い、最終的に上図に至っている。
出典:『a+u』 2002年2月臨時増刊 「ヘルツォーグ・アンド・ド・ムロン」, 2002, 'エー・アンド・ユー'