WEBでのプレゼンテーションは情報の関連付けやその構成など、紙媒体などに比べると自由に組立てることができます。全体または一部分に直線的な流れを作って物語を組立てることや、それぞれの項目を独立させて一つずつ見せること、説明や強調が必要な箇所にリンクしたページを用意するなど、かなり自由な構成が可能です。しかし、自由なだけにどのような構成でどのように伝えて行くのかを意図的にしっかりと組立てないと、ちぐはぐでまとまりのない構成になってしまう可能性も往々にしてあるので、充分に吟味して構成を組み立ててください。
―作品を通してあなたがもっとも伝えたいことは、何ですか?―
企業であれ個人であれ、WEBサイトを制作する目的は、あくまでコミュニケーション=意志の伝達です。
建築デザインコースで制作するものは、自身の作品のプレゼンテーション(WEBポートフォリオ)ですから、制作意図がスムーズに理解され、共感や賛同を得ることにあるといえます。また例えその結果が批判であったとしても、批評の俎上にのり、それに耐えうる説明責任を果たすことではじめて、作品は実存感を得ることができるのではないでしょうか。つまり、例え現実に存在はしなくとも、本質的なところで信頼性を持ちうるかどうかは、自分自身の思考の軌跡をあなた自身がどれだけ信じることができるかでもあるでしょう。
ここで重要なのは、『あなたが伝えたいこと』に寄りそったプレゼン表現の一貫性や必然性であり、なによりも“自分の言葉で語ること”です。それをおろそかにしたまま制作技術や見栄えに凝ることが優先すると、意図が充分に伝わらないばかりか、主張の軸がぶれて誤解を与え、相手を混乱におとしかねません。あるいはそれで満足するならば、それは虚飾にすぎないのかもしれません。一生懸命そして誠実に、自分なりの言葉で語りきることができている作品からは、たとえ技術が拙くとも魅力がにじみだすものだと思います。それが個性です。
実制作に入る前には、自分は作品を通して何を表現したかったのかを明確にする意識が大切です。そしてその伝達のためにはどんなプレゼン表現が必要かつ十分なのか、自分なりのビジョンをできるだけ具体的に描くことです。作品の方向性があっていれば、はじめは憧れの誰かの真似でもいいでしょう。しかしこのプレゼンの構想段階に時間をかけることをおしまず、さらにおりにふれて原点に立ち返って本来の目的に照らして検証することが、WEBにかぎらず、作品のプレゼンテーションを成功させるポイントといえます。制作技術やグラフィック表現は、あくまでそれを実現する手段です。このことを忘れずに制作に取組んで下さい。
WEBサイト制作の一般的なワークフローをあげれば以下のような段階をふむことになります。
このプランニングの段階で、訴求したい内容とそのプレゼン表現の戦略について明確なビジョンが描けることがスムーズに制作をすすめるコツであり理想ですが、慣れない間や実際には、プランニングと素材の編集、モックアップ制作を手を動かして考えながら行き来するなかで、徐々に明確になってくることもあるでしょう。いずれにしても、実制作以前の地道な下準備が重要なのです。
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モックアップ