「撮影場所の準備」では、模型写真を撮影する際に、最低限するべき基本的な事項を説明します。
建築模型の写真は撮影の方法によってその印象は大きく異なります。模型写真の印象を左右するのは立体感と陰影(ライティング)です。本来ならばスタディオなど、設備の整った場所で撮影するべきですが、スタディオを確保するのは簡単ではないため、自宅でもできる簡易な模型撮影の仕方を紹介します。
最も簡単な模型撮影の場所は、屋外です。
しかし建物や樹の影になっている場所や、曇の日では「影」が美しく撮影できないので、かならず晴天時の太陽の光が降り注ぐ時を狙って撮影をしましょう。(晴天時、朝の9:00〜昼の2:00ぐらいの太陽の光が最も美しい。)
また、写真に写る模型の背景には充分に気を配ってください。アスファルト、コンクリート、芝生、または屋上からの街の風景、遠くの山、または一面の空など、設計内容に応じたプレゼンテーションとなるように意識してください。少しの差で随分と違った印象になります。
室内で撮影するには、簡易のスタディオを組立てます。まず、「背景」、「光源」、「三脚」の3点を準備しましょう。
室内で撮影する場合の簡易スタディオ背景、光源、三脚の3点をまず揃える。
写真は被写体だけではなく、背景にまで気を配ってこそ良いものが仕上がります。最低限バック紙などを用いましょう。その他、各自の表現意図によっていろいろ工夫を凝らす(バック紙の代わりにイメージ風景を用いるetc.)のも良いでしょう。
背景とにかく、模型を美しく撮るために、写真に余計なものが写らないように背景を作る、または選ぶ。
建築模型をシャープに写すためにも、三脚などのカメラ固定用具は必須です。三脚はカメラをしっかりと固定でき、取り回しも容易なので、安価なものでも一台あれば重宝します。三脚までは…という方は、テーブルや本などを用いてカメラを安定して置ける「台」を作るのも一つのアイデアです。手持ち撮影はよほどの自信がない限りおすすめしません。
まず、蛍光灯下での撮影はやめましょう。蛍光灯下で撮影するとフィルムが緑色に色カブリします。その上、蛍光灯は空間を均一に照らす性質があるので、陰影がつきにくく立体感の無い写真に仕上がります。また、安易に内蔵ストロボだけを使って撮影するのも、平面的で単調な写真になってしまうので避けましょう。立体感を出すためにはクリップライト(白熱灯)を二つ用意すれば大丈夫です。余裕がある方は外付けストロボを購入するのも良いでしょう。(白熱灯を使用する場合はタングステンフィルムで撮影で撮影するのが適している。)
また、自分の作品とイメージが合う場合、自然光での撮影も効果的です。
光源の位置の設定によって陰影が生まれ、被写体に立体感が出ます。光の方向、主光と副光を理解し、クリップライトやストロボの配置をいろいろ変えてみて、自分の表現方法に合ったライティングを見つけましょう。また、レフ板(白や銀色の板パネル)も効果的です。
自然光で撮影する場合でも同様に、光の方向や陰影のつき方に注意しましょう。
技法・解説:
ライティング