ランドスケープLandscape


日本語では、「風景」「景観」の意味。
ランドスケープという用語は、19世紀末から20世紀にかけて、主にアメリカを中心に、ランドスケープ・アーキテクチュアという領域の発展と共に生まれ、近年、日本や他の国々でも定着しつつある言葉である。

19世紀後半、アメリカにおいて、ランドスケープ・アーキテクチュアという用語で、風景のデザインに関する領域を、最初に開拓したのは、フレデリック・ロウ・オルムステッドであるとされる。その職能は、主に個人邸宅の装飾園芸に携わってきたそれまでの造園家のそれとは異なり、より広範な領域と使命が想定されていた。都市や自然環境を人々の集団的価値とし、その価値の創出に責任を持つ、公共的な職域を確立したのである。
オルムステッド以降、都市の中の街路やオープンスペース等の計画を通して、ランドスケープ・アーキテクチュアが社会的な役割を担いはじめる。

また、1970年代頃になると、アースワーク・ランドアートなどの現代美術が、ランドスケープ・アーキテクチュアの分野に影響を及ぼす。美術館のホワイトキューブから飛び出し、サイトサイトスペシフックなアートのあり方を問うた潮流であったが、その自然とのかかわり方は、ランドスケープ・アーキテクトの問題意識と共有されるものであった。
現代のランドスケープ・アーキテクトとして有名なピーター・ウォーカーは、ミニマルアートに大きな影響を受けたランドスケープを多く創出している。

今日では、建築・都市・土木・芸術・生態学等、様々な領域で「ランドスケープ」との関わりが模索される。建築の分野では、建物が不可避的に周辺環境との関わりを持つため、その関係の構築において、ランドスケープからの視点が注目されている。例えば、プライベートな性格を帯びる住宅は、しばしば公共的な都市の周辺環境との対立関係を生む。ランドスケープとは、こういった対立を契機に、建築設計の方法論と都市環境の成り立ちを深く理解し、それらの領域を横断的に眺めることから、解法を発見しようとする視線である。

01 Taipei Terminal, SASAKI ASSOCIATES 台北市内中心部、交通機関の接合部におけるターミナルの計画。都市の文脈を読み解くことから計画が導かれていることが分かる。 出典:Melanie Simo『Sasaki Assoxiates: Integrated Environments』, 2003, 'Whitney Library of Design'
02 Taipei Terminal, SASAKI ASSOCIATES 出典:Melanie Simo『Sasaki Assoxiates: Integrated Environments』, 2003, 'Whitney Library of Design'
03 Taipei Terminal, SASAKI ASSOCIATES 出典:Melanie Simo『Sasaki Assoxiates: Integrated Environments』, 2003, 'Whitney Library of Design' 関連用語:
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