※2017年度の参考作品
グラフィックとして美しく、わかりやすいマッピングの好例。シナリオについては少々強引な印象もあるが、論理的に筋が通っているので納得できるようにまとまっている。計画学的なプランニングも丁寧にしており、ダイアグラムと色を対応させた図面が非常に見やすく良いプレゼンテーションである。
(担当講師 : 岡本一真)
※2017年度の参考作品
全体的にプレゼンテーション密度が高く、積極的に模型を制作して検証している点が素晴らしい。マッピングはアクティビティの発生状況についても触れてほしかったところであるが、それ以外は緻密によく考察している点も良い。
シナリオスケッチで目指していた既存緑地のある屋外広場の「気軽な利用」や、パブリック・プライベート分布で指摘した「通り抜けを良くすること」、「開放の必要性」などが、都市型施設の計画において十分反映されていないことが残念であるが、図面を丁寧に描いている点、ゾーニングを示すダイアグラムなどは是非参考にしてもらいたい。
(担当講師 : 田村秀規)
※2017年度の参考作品
井の頭恩賜公園の中でも既存の森に対する環境負荷の最も少ない敷地を選定した配慮も去ることながら、フィールドワークを丁寧に行っており、美しいプレゼンテーションから作品の素晴らしさがひと目で伺える力作。マッピングにつてはアクティビティの発生状況が欠けてはいるものの、全般的にわかりやすくまとめてあり、シナリオに繋げようとする高い意識が読み取れる。
特にシナリオスケッチが素晴らしい。地域のニーズとしての「食の提供」を主軸に、子供と高齢者の交流を促進するというシナリオを、単なる構想レベルに終始すること無く、三鷹市の待機児童問題や高齢者の雇用創出まで踏まえた上で、開館時間や運営形態まで具体的、かつ無理なく実現可能なレベルまで展開した辺りが非常に参考になる点であろう。
(担当講師 : 田村秀規)
※2017年度の参考作品
情報を分析し的確に表現している好例。グラフィックとしても美しくまとめられている。特に佇む人のマッピングは経時変化を写真とともに的確にグラフィックにしており非常に素晴らしい。太田市美術館図書館などを事例参照し、計画学的にプランニングしていてとても良く、シングルラインだが図面表現もわかりやすい。欲を言えば、この街に本当に相応しいプログラムであることの説明をマッピングを通してもう一歩踏み込んで欲しかった。
(担当講師 : 望月公紀)
注)2015年度以前の作品ですが、フィールドワークの仕方やマッピング等の参考にということで掲載しております。
大勢の観光客や鹿が自由に往来する奈良国立博物館敷地内の緑地をリサーチしている。「グループの人数ごとに分けてプロットした 人口分布」「人の行動を動、止、休の3パターンに分けてプロットした分布」 等、敷地の現状をよく捉えて時系列で細やかに観察し、 マッピングしている。周辺環境についても、針葉樹、広葉樹の分布/緑地帯と水域の分布/直射日光のあたる部分と日陰部分の 分布など、多角的な視点から丁寧に観察している。提案がやや大雑把な仕上がりになっているのが非常に惜しいが、リサーチの 精度は素晴しい。今後もこの観察眼を大いに活かして制作に取り組んでほしい。
(担当講師 : 北川文太)
注)2015年度以前の作品ですが、フィールドワークの仕方やマッピング等の参考にということで掲載しております。
この作品は巨視的な視点から、また細やかな視点からもよく観察され、有意義なフィールドスタディが行われています。 きれいな敷地図に加え、敷地模型やスケッチも交えてわかりやすく表現されており、プレゼンテーションもたいへん美しいです。 次なる課題として、「この地域固有の問題」を解決するための「特別なシナリオ」を模索して欲しいと思います。
(担当講師 : 中西ひろむ)
注)2015年度以前の作品ですが、フィールドワークの仕方やマッピング等の参考にということで掲載しております。
地理的要因に大きく構造が規定されるエリアとはいえ、場の観察を通して得られたそれぞれの地図によって、極めて簡潔かつ的確にこの場所ならではの特徴が捉えられている。アクティビティの分布については、日常と非日常という独自の分類の視点を導入することで、そのプラットフォームとなる場所の性格にダイレクトに結び付けようとするアプローチが面白い。唯一残念な点は、「空間の質」を表現する配置図やスケッチが無いことであり、どのようなイメージの建築を目指しているのか、もう少し提示できると素晴らしい。
(担当講師 : 田村秀規)
【参考にする学生のみなさんへ】敷地のリサーチ項目やマッピング表現などについては、過去の参考作品も必ず参照してください。
ーーーーーーーーーーー以下教員のコメント
「場」の持つ潜在的な力を、直感的に、もしくは、経験的に理解して、親子のための居場所の新設を提案している力作である。「場」の提案するプログラムありきで行ってしまったのか、または、よく知っている場所だからこそ省略してしまったのかはわからないが、観察の表現としては、やや観察項目が不足しているように感じる。この課題では、改めて観察してマッピングすることで、場の力の再発見や再確認をしてほしいと考えているので、その点は少し残念である。
選定した敷地だけでなく、その周辺の環境とも呼応して地域に根ざした計画になる可能性を感じさせる。シートのまとめ方は美しくて見やすく他人への配慮があり、そういった感性が計画にも反映されることを期待する。
(担当講師 : 小杉宰子)
注)2015年度以前の作品ですが、フィールドワークの仕方やマッピング等の参考にということで掲載しております。
非常に緻密な「場」の観察がとても分かりやすくまとめられ、プロセスの表現という点からもまさに模範となる作品である。もともと「場」のもつ潜在的な力を自分なりに解釈した上でリサーチ項目の詳細が定められているため、より深く掘り下げた洞察が行われていると言える。シナリオスケッチの項には、マップの中にもう少し分析の痕跡を表現として残してもらえればと思うところはあるものの、場の断面特性を利用しようとするアイデアもこの場所ならではということが感じられ可能性を感じる。
(担当講師 : 岸川謙介)
※2017年度の参考作品です。
木造密集地の周囲の環境に建築を斜めに配置することで周囲から一歩引いた形をとることで広場を大きくとっており、3階立ての図書館を周囲によく見えるようなシンボリックな大きさとしながら、機能的に無理なく分棟をつなげている構成が素晴らしい。外構を上手に分断し、セキュリティを考慮しつつ、建築として非常に伸びやかなおおらかな印象を与え、周囲と建築の距離感を上手にデザインしている点も良い。また、空間への名前のつけかたもとても魅力的である。こびとスペースとかそらまめ食堂とか…。地域の人々に愛されそうな細やかな配慮も良い。
(担当講師 : 望月公紀)
注)2015年度以前の作品ですが、スタディの仕方やプレゼンの方法などの参考にということで掲載しております。
どのようなコミュニティセンターにしたいかという強い意思が示され、それが平面計画やかたちに明確に表れている。もうひとつのテーマ、複合する意味についても考えが及びそれがプランに反映されている。複数の施設が集まるからこそ生まれる共用の空間の扱いがうまい。「自由に出入りできる」点で町に対してまだ閉じている感があるので、中庭への開き方と同時に町との繋がり方について、視線の抜けだけでない関係を模索してほしい。
(担当講師 : 小杉宰子)
注)2015年度以前の作品ですが、スタディの仕方やプレゼンの方法などの参考にということで掲載しております。
このまちにとっては巨大な施設を、小さなボリュームに分割して広場を囲むように再集合させた計画。中庭を囲む回廊型の縁側空間とは別に道路側にも小さな庭を点在させ、まちとの関係をそれぞれに築こうとしている。縁側空間を屋内としたままでよいのか、デイケアセンターの車寄せや、図書室以外の上下足の考え方など考慮すべき点は残っているが、人々がこの場所で滞留したくなりそうな仕組みが提案されつつあり、今後の展開に期待したい。(*わかりやすいように赤入れした状態のものを掲載させていただいています。)
(担当講師 : 小杉宰子)
注)2015年度以前の作品ですが、スタディの仕方やプレゼンの方法などの参考にということで掲載しております。
敷地周辺に元々ある道の延長に、建物の中へ導く路地をつくって街と施設をつないだ構成が良い。平面の設計はとても丁寧にできている。 外構の計画は機能的ではあるが、周辺の環境に対しての配慮をしてほしい。イメージドローイングはもう少し丁寧に。
(担当講師 : 西川博美)
注)旧課題(条件)の参考作品です。最新の制作条件はシラバスで確認してください。
曲線を多用した柔らかな造形が特徴的な作品です。手描きのドローイングを中心としたプレゼンテーションは十分な時間を掛けた成果を感じさせ、とても好感が持てます。
ただ、断面計画はやや短調で、平面的な造形の面白さが空間として生かされているかは疑問が残ります。そのあたりをどう克服するかが今後の課題となるでしょう。
(担当講師 : 植南草一郎)
「祈る」という行為を考えると、囲まれた安心感のある空間を創造してしまいがちだが、開放的な草原の敷地に開放的な祈りの空間を提案している点が新鮮である。高さ12mを超える交差ヴォールトと列柱空間は、訪れた人に季節や天候によって祈る場所を本能的に選ばせるのではないだろうか。
トイレなどの付帯施設のデザインまで完成できなかった点が残念である。
(担当講師 : 高橋堅(コメント:小杉宰子))
L字の開口部から入ってきた光が、色のついた壁に反射し、大都会に佇む暗いひっそりとした祈りの空間に穏やかに光を注ぐ仕組みを考えた計画。このL字の開口部が壁であったり、天井であったり、床であったりと、闇の中に3次元的に展開するような大都会の祈りの空間を計画した。 光を表現するために制作した大きなスタディ模型がすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
壁をテーマに、教会に至る空間を丁寧に考えた案である。 一見ランダムに見える壁の配置は、丘の起伏を増幅するように徐々に高くなっており、丘を登る人から建物を隠すように、そして、登った人からは全貌が見えるような仕組みになっている。 配置の仕方は、行く先々で、視線が通らないよう巧妙に計画しており、その壁を抜けると、厳かなシンメトリーの光の空間がまっているという構成である。天井にあけられたスリットからのみ、この空間に光が入り込み、光が時を刻むような祈りの空間である。 壁でシークエンスをつくるというコンセプトを形にしようと、方位や、配置計画、起伏の断面計画など、敷地を丁寧に読み込みながら建築を考えていった点がすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
光や風の流れそして、風景のの取り入れ方の組み合わせを3種類にわけ、内部空間の体験を丁寧に考えた案。先が見えずに歩く光のトンネルのような空間は徐々に上るスロープになっており、そよ風が吹き抜け、行った先に木と空が切り取られる空間が用意されている。 光と影がちらちらするような、木製ルーバーの空間には、仮眠室などが用意され、木陰にたたずんでいるような空間になっており、両方をつなぐ空間は、光と影のコントラストが大胆に展開する空間と、それぞれの空間の光と風と風景の捉え方がとてもよかった。 しかし、最後のプレゼンテーションで内部空間の良さを伝える縮尺1/50以上の模型と図面、そしてプレゼンシートがなかったのが非常に残念であった。
(担当講師 : 望月公紀)
まず、海を敷地に選び断崖絶壁の敷地模型を地道に作った点がすばらしい。敷地模型の重要さを改めて自身で認識し、この複雑な地形をどう活かして建築にするのかを丁寧に考え模索した案。 キャンティレバーで断崖絶壁に突き出した空間に至るまでに、木漏れ日のような光がチラチラする様子を、ドットの開口で表現しようとし、木々の多い周辺環境から建物内部のシークエンスまでを一体的に考えようとしているところがすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
手でつつまれたような祈りの空間というコンセプトから、順を追ってひたすらメッシュ状の架構のスタディを重ねた模型が並んでいる。最初のモデルから最終形まで何度も何度も光と影が織りなす包まれたような空間のスタディを行ったところがすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
景色、その他プロジェクトの置かれた情景から得られる条件を、単純(単純であるがその反面強い)なaxisに依る空間としてポジ・ネガの関係を構成しながらうまく表現している。この計画の中には機能、光を対象としながらグラデーション、ヒエラルキー、軸、リズムなどのオーダリングが多岐に埋め込まれている。
(担当講師 : 新井清一)
国立西洋美術館との対話がとてもユニークな計画。今は立ち入り禁止になっている西洋美術館の屋上庭園を見ることができるよう、建物の形は上野駅側から西洋美術館へと緩やかな起伏を持った形状になっている。 美術館のコンセプトが日常から非日常へということだが、JR上野駅から見えるこの小高い丘のような建築に上ったときに美術館内部の体験だけでなく、外部での体験も非日常感が体験できる作りになっている点がよい。
(担当講師 : 望月公紀)
身体のスケール感を問題にしたロン・ミュエクの作品からインスピレーションを受け、彼の作品と呼応するかのような建築を計画。 美術館の展示室体験も、極端に狭い入口-低い天井-とても高い空間へと、展示物と展示空間体験がロン・ミュエクの作品とリンクするような作りになっている。 アーティストの作品を丁寧に分析し、建築空間にアウトプットしている点がよい。
(担当講師 : 望月公紀)
透きとおった美術館というコンセプトで、国立西洋美術館とは対比的させ、透明な箱にホワイトキューブを挿入した計画。 西洋美術館との距離の取り方や外構計画も含め、建物の大きさや配置を丁寧に決めているところがよい。 緻密で精度の良い模型からもその様子がうかがえる。
(担当講師 : 望月公紀)
HPシェルの形状的な特性を、駅の機能とうまく結びつけた構成。
節点が下がる位置で接地し、そこから屋根に上がることができる。また、複数枚で構成される屋根の切れ目は駅前のシンボルツリー側に開かれており、駅前広場も建築にうまく取り込まれている。
架構自体を素直に配置した結果、不用意な位置に巨大な柱が立っており、それによる内部空間への影響について、積極的な提案がほしかった。
(担当講師 : 門藤芳樹)
周辺の環境に合わせた、極端に低い屋根による構成。
ランダムに配置されるV字の柱列帯や屋根の僅かな高さの変化が、さまざまな距離感を生み出す。
いわゆる、大スパン架構を避けた提案であるが、それであれば、人が佇む場、流動的な場、などに、もう一歩踏み込んだ提案が欲しかった。
(担当講師 : 門藤芳樹)
全体の正確な青写真は無いまま、即興的に製作された樹状の構成。二次的な「枝」部材により、常に複数の節点に荷重が分散され、十分な剛性を持っている。
高さや広さなど、空間のプロポーションが意外と良くできている一方で、自然豊かな地方都市で、自然を模擬した人工物をつくるというのはどういう事か、もう少し論証が必要である。
(担当講師 : 門藤芳樹)