2階以上の建物において、地上部分が柱(構造体)を残して外部空間とした建築形式、またはその構造体を指す。まれにその地上部分の構造体のみの空間自体を指すこともある。
ル・コルビュジェが提唱した近代建築の5原則「ピロティ・屋上庭園・自由な平面・自由な立面・連続水平窓」の一つとして取り上げられた。コルビュジェが提唱したドミノ・システムはそれまでの組積造、つまり壁を構造体とした構造形式から、柱と梁を構造体としたラーメン構造への転換である。建物が柱と梁で支えられることにより、壁は重力に抗う構造体としての任を解かれ、自由に配置することが可能になった。もちろん「配置しない」ことも自由であり、ピロティのような空間を造ることが可能になったのである。
Le Corbusier「Villa Savoy(サヴォア邸)」のピロティピロティ部分にあるエントランス部分のガラス壁は自動車の回転半径にならって弧を描いている。
写真提供:安部秀司
補足として、ピロティは建築の地上部分を開放/解放すると同時に、空中に浮いた内部空間を実現する。つまり建築の内部空間と地盤との関係を、理念的・形態的な意味において、断絶を表現する。よってコルビュジエは新しい外部空間との関係として、屋上庭園を提唱したと捉えることができる。そもそもコルビュジエはピロティを「モータリゼーション(車社会)のため」とした。
ちなみにピロティとはフランス語で杭の意味。
関連用語:
近代建築の5原則
ドミノ・システム
カーテン・ウォール
架構
ラーメン構造