ピアッツァPiazza


ピアッツァはイタリアの都市に見られる広場を指す。
ほとんどのイタリアの都市の中心にはドゥオーモと呼ばれる大聖堂があり、そのファサードの前に広場が確保されている。そのドゥオーモなどの象徴的な建築物の前面に広がる豪華な広場のことを指してピアッツァと呼ばれることもあるが、ピアッツァは地方都市でのあり方が興味深い。イタリアの山岳都市や城郭都市はドゥオーモ前のピアッツァを中心として組積造の建物が建てられ、建物と建物の間の、建物が建っていないところが街路や小さなピアッツァとして使われる。このような、大げさな広場ではなく、街路が集まり少し広くなっただけのような場所もピアッツァと呼ばれる。その街において建物がないところが街路やピアッツァであり、街路やピアッツァでないところは建物となっている。建物が先でも街路やピアッツアが先でもなく、そこには一種の地と図の反転がある。

01 イタリアの地図を白黒反転した図
左図は街路が黒、建物が白。
右図はその逆に、建物が黒、街路が白。

ちなみに街路とピアッツァの明確な差はなく、地元民の感覚で呼ばれているようだ。
出典:芦原 義信『町並みの美学』, 1990, '岩波書店'
街路やピアッツァには昼過ぎにもなるとどこからとなく人が集まり、階段や噴水などに腰掛け、談笑し、時にはピアッツァに面したバール(イタリアの喫茶店)でお茶を飲みかわし食事をするなどの生活が営まれている。そこでの生活では、屋外と屋内の差は我々の感覚よりも縮められ、ただ単に屋根がある/ないだけのとして捉えられているような感覚がある。
ピアッツァが「屋外の居間」呼ばれるのは、地中海の気候やそれに合わた空間の作られ方、そこに根付いたその街にすむ人々の生活と都市との関わり方によるだろう。

02 ピアッツァで見られる一風景。 出典:竹内 裕二『イタリア中世の山岳都市』, 1991, '彰国社' 関連用語:
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