ーー まず、おみやげについてお聞かせください。
今のおみやげ品というものは全国どこでも見られるもので、本当に独自なものっていうか、そういうものが出てこないといけないと思うから、それを例えば企画しながら、大学でそれが企画制作されていったら、実際、いい勉強っていうかね。その実地の勉強っていうか社会に出てでも通用するようなことを大学でやろうとするわけだから、そういうマーケティングの面から見ても面白いと思います。
ーー 大学の側からは無責任に、やろうと思えば出来ちゃうわけなんですよね。ちゃんと地元のことを知らずにも。で、それではいけないと思ってるんですけども。やっぱり、それをやるにあたって密度の高い地元との関わり、人を通した関わりとかがないとなかなかやっぱり、スタートしてはいけないなと思ってるんです。
ただ、その、そういうことをですね、大学が産地の方と一緒にやるということは、平沢という場所にはあるんでしょうか?
これは地場産が一番いいとおもうね。で、本来はそういう役目を地場産はしていかないといけないわけで。それは、大歓迎。ほんとは大歓迎しなければいけないわけだよね。地場産としては。だけどその商品開発が出来ない状態でいるのは、地場産のいけないところ。
あなた達が企画して地場産に持ち込んだものがいいなと思ったら、これをやるだけの力がないとね。
ーー おみやげに話は戻りますが、おみやげとして自分たちが作っているものを流通させていく、漆器であったりとか額であったりとか、そういうデザイン開発は個々の職人さんがやっているんですか?
そうですね。
ーー 新しい取り組みっていうものも年々出てきているんですか?
やっぱり、そこで一個人の職人で止まっちゃうことが多いですよね。
ーー 平沢としてのみやげもの、商品開発というものはないですか?
やろうとすると失敗しちゃう。なかなか、やろうとしても。
ーー ではその束ね役が地場産になるわけですか?
束ね役が地場産にならないといけないということです。
でも、本来その機能を果たさないといけないけどそこまで手が回らないみたいです。
ーー 伊藤さんにとってうるしの木地というものは何でもいいと思いますか?
何でもいいと思う。でもやっぱり最終的には木になるだろうけどね。檜の材料なんて見てると本当最高だと思うけどね。木曽には檜があって、やっぱり檜を使った商品展開はね、なんか切り口になると思うんですよ。
ーー インタビューで色々話を聞いていると、問屋は問屋、職人は職人という風に分業化が進んでいて、それを兼ねた人というのがあまり見当たらないな。というのがあるんですが。
やっぱりプロデュースする人っていうのは出てこなきゃいけないと思う。
で、マーケティング専門の人がいたりして、展開していけるくらいじゃないと、とても産業としては成り立たないと思うんですよね。
ーー 商品の開発ということを産地とともにやっていき、活性化させていきたいという目的はなぜ生まれたんですか?
わからないけど、人のことまで考えてられる余裕はないけれど、やっぱりこういうせっかくの物づくりの産地に対して、結局物を売ればいいということじゃなくて、作る人を作っていかなくちゃいけないんじゃないかという、そういう思いかな。
だから、単なる流通の木曽漆器って言いながらそうじゃなくてね、全国のものをただ売るだけのものになってしまえば、もう先見えてるような気がするんですよね。
このままいくと。実際、職人の数はどんどん減ってきているわけですから。