ーー まず、楢川村で働いている経緯を教えてください。
実は私はまだ一年しかここで働いていないんです。それまでは大手の商社に勤めておりまして、貿易の仕事をしてました。それで海外へ10年程行ったり、主に中近東ですが。ただ、3年程前にこの木曽に来まして、自分で家を建てまして。
ーー ここにですか?
ええ、隣の日吉村に。
ーー では、長年商社に勤められてこちらに。ここは第3セクターですか?
そうです。なんていうか、今までの仕事は関係なくこちらに勤めることになりました。
ーー 地場産センターで木曽漆器の振興に関わりたいというわけではなくて、町に惚れて?
そうですねこの場所に惚れて、しかも私木工とかそういう職人技というものに非常に興味がありますので。いいところに勤めたという感じです。
ーー ここでは、色々な企画展や催しなどをされているんですか?
企画というより、大体今まで例年の通りやることが結構決まっているんで。去年は新しく木のおもちゃ展というのをやりましてね。非常に好評でした。
ーー そこで新しく外から来られる方はありましたか?
それはね、子供達はもちろん来ましたけど、若いお母さん方も来られて、そうですね、、、面白かったですね。親子で若い方が見えるようになって、今までのうるしとは別のお客様の層が来てくれましたね。お孫さんにおみやげで買っていくお年寄りの方もいましたし、幅広い方に楽しんで頂けたと思います。
ーー 地場産業ですから、別に漆器に限っているわけではないんですよね。
そうです。やはり木曽地域の産業を紹介するという。ただ、実情を言いますと
やっぱり一番のスポンサーというか支持者は楢川村なんですよね。ですからやっぱり漆器であるんですよね。それが一番大きなウエイトを占めてるんですけれど、まぁ、それだけではなく。
ーー 最後に、これからのおみやげについてお聞かせください。
私、ちょうど終戦の時に生まれたので、若い頃って生活がどんどん良くなりましたけど、ものの質ってあんまり良くはならなかったですよね。机なんかでも合板だったりとか。だから合板よりも今は無垢が好きという、それで普通の無垢だけではなしに漆塗ってる方が、良い塗装してる方がいい。そういう意識がありますね。
反骨というか今までの文明に対してのね。何て言うか脱却というか。
ヨーロッパに行くと家具の中古品、アンティークじゃなしに、中古の家具屋さんってありますよね。日本はあまり無いですけど。大事にしようとしない。それと今まで逆に言うと僕らの若い頃良い家具は無かったと。使い捨ての家具を大掃除の時に捨てちゃう。そんなものに対する見直しがあっても良いんじゃないかと。