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インタビュー

 株式会社 木曽アルテック社:代表取締役 斉藤寛親さん /聞き手 松井利夫

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ーー まず、おみやげについて思っていることをお聞かせください。

中学の時に京都と大阪と奈良とに旅行にいったことがありましてね。私には姉が2人いまして、それにおみやげを買って帰ったんです。一番上の姉には京都で大名行列の泥で作った人形をあげて、2番目のには七福神、親父には鹿の彫刻をしたのをおみやげに買ってきて、姉はそれを今も大事にね、とってる。
で、よく見るとやっぱね、手作りって良いんですよ。
それ今行っても売ってないんですよ。売ってるのは大量生産型の、表情の無いものばかりで。
あれはやっぱりここの地元で歳をとった方がね、あまりにも、まぁこういうこと言っちゃいけないんだろうけど福祉って言ってあまりに保護しすぎるね。やっぱり行政は歳とったら地元に役に立つような具合に、このあたりだったら山にいくらでも木があるから木を切ってきて枝に何かつけるとか、それを割ったりして何かつくるとかして売れば、小遣いにもなるわけだから、旅行にも行けるじゃないですか。それがおみやげだと思うんですよね。
おもちだってそうなんですよ。昔はいろんなものを、自分たちの食べるものは自分たちで作ったわけだから。それを、女の人だったら作ればいいじゃないですか。
そういうことをさせることによって病気だって減るだろうし、もっと頭も活力湧くから痴呆症にはならないだろうしね。
それをすることによってこの村だってもっと活性化するんです。
そういうこともしないでね、上げ膳据え膳でバスで送り迎えしてお風呂に入れたりどっかの店に連れてってみせたり。
そりゃ行く方も行く方だし、やる方もやる方だよね。
寝ちゃってどうにも動かんって人ならそうだけどもちょっと歳とったからってそうやってする必要は私は無いと思うんだけどね。
それでいて簡単な中国から仕入れてきたものとか、おみやげもの屋の業者があるからその人たちの言いなりに。まぁ、それも上げ膳据え膳だからやりやすいって言えばやりやすいよね。
で、それにみんな右ならえになっちゃってる。

ーー その業者さんというのは、デザイン開発というのはどういう風に行っているのですか?

その業者のデザイン開発というのはまず安くローコストで素早く出来て、大体世の中で何が求められているのかまず考える。
例えばサッカーが盛んならサッカーで。

ーー 携帯のストラップとかもそうですよね。

誰もそりゃ、この辺りからみた景色がいいなぁとかそんなこと考えないよね。何て言うか、泥臭いことは考えないよね。
例えば蛙なんかにしても、泣いた蛙とか、笑った蛙とか、雨に濡れた蛙とか、怒った蛙とか、赤みを帯びた蛙とか、アオガエルとか・・・。
同じ形のパターンを作っておいてそれに彩色することによってその表情が生まれるじゃないですか。そういうような面白さのデザインはしない。
そこらのところをおみやげもの屋さんにも話をして、ヒントを出して、それでおみやげもの屋さんがそのくらいの知識とデザイン力があれば、それは開発していくと思うんだけど、それが売れなければまた元通りになっちゃいますよね。

ーー それで言うと今おみやげもの屋をやっている方が、今、斉藤さんがおっしゃったかたちの意識改革をしてですね、やったものの売れなかったら、やっぱり今までの売れるおみやげものになびいちゃうわけなんですか?

うーん、やってみたことがないから分からないですね。別にやろうという意識が無いんでしょうから。

ーー では、そういうことをやろうとしているおみやげもの屋はあるんでしょうか?

あんまり無いんじゃないですかね。

ーー 斉藤さんにとっておみやげとはどういうものなんですか?
さっきおっしゃったように、ここの産のものを塗っただけでもいいじゃないかというお話もあったわけなんですけど。

奈良井って結構観光客が来るようになったんですよ。昔の懐かしいことを想うっていうので。それとやっぱり、温かみを感じるんでしょうね。空気の流れがすごくいいと思うんですよね。それに相応しい、すべてが相応しくないといけないと思うんですよね。ここの風土であるわけだから、ここに合うものでないと本来はいけないけど100%要望しようと思うとそれは無理が生じると思うんですよね。
だけども、ちょっとぐらいは近づけなきゃいけない。そういう心、美意識が必要だと思うんですよ。

 



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