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インタビュー

砂浜美術館 学芸員:村上健太郎さん /聞き手 松井利夫

 

ーー あれは、ふるさと創成館という建物なんですか?

えと、ふるさと総合センターですね。

ーー それは町立なんですか?

建物自体は県の建物で、ここの公園を管理しているのが大方町公園管理協会というのがありまして、そこが管理しているというふうに。。。

ーー それで、漂着物学会の事務所は、あそこで、間借りしている感じで。

そうです。

ーー おもに地元の人の活動なのですか?

事務局員自体は砂浜美術館のスタッフが2名ホエールウォッチングのスタッフが2名、計4名なんですが、色々イベントをするときには町内のそういったことに興味のある方、プラス、、どちらかと言うと町外の方が興味を持って来て下さる感じですね。5月のTシャツアート展の時もシーサイド裸足マラソンっていう、裸足でそこの砂浜を走るイベントがあるんですが、町の人に言わせれば、「俺らは小さいときから砂浜で走ってたよ」って、何をそんなに騒ぐ必要があるのかって感じなので。あたりまえに見ているものを外の人たちが、「あぁ、すごい」って言うのが、「そんなにすごいことなの?」みたいに、外から気づくということが多いので、まだまだ活動に中心的に入って来ているかというとそうではないですね。

ーー 村上さんはこちらの方なんですか?

僕は神奈川県で。。やっぱりここが気に入って、移り住んじゃった感じです。

ーー 初め学会員としてこちらが気に入って、移り住んだという流れなんですか?

全然それとは別で、砂浜美術館っていう所があるよって聞いてですね、ふらっと来て、あぁ、いいなと思って。それでたまたま仕事もあったので、そのまま来てしまったという。

ーー どこに惹かれてこちらに来たのですか?

感覚的なことですけど、まず、のんびりしてますよね。で、ここで活動してる方の発想とかがすごいなぁと思って。

ーー 村上さん自身は何かの研究をされていたんですか?

いや、僕は普通に東京でサラリーマンをしていまして。本当に偶然なんですけど。

ーー じゃあ、もうやめた!!と

そうですね。

ーー 漂流物学会と砂浜美術館の関係は?

もともとは、漂流物展というものを砂浜美術館でやってまして、その漂流物展のつながりの中で全国で漂流物を集めてらっしゃる方とはつながっていたんですね。ただ、そういった方々が情報を共有したり、何か一緒に考えていったりという場が無かったんですね。それをどこかでやったらいいねという話はずっとありまして。でもその状態のままずっと来ていたので、それだったら砂浜美術館の考え方と漂着物ということは結びつく点が非常に多いので、ここで窓口をやりましょうという、そういう経緯でなったので。

ーー この砂浜美術館がNPO法人なのですか?

そうです、NPO法人の砂浜美術館です。昨年までは任意の団体だったんですけど。

ーー 今、僕たちはおみやげの教科書を作ろうとしているんです。で、ここには結局何も無いわけですよね。

はい

ーー 青い空と砂浜、天井が空で、床が砂浜で、BGMが波の音。で、持ってかえられるものとしたらゴミだけですよね。もし、砂浜美術館としておみやげを考えたとしたら、何がおみやげだと考えられますか?

それは有形のものとか無形のものとかいうことは無くてですか?
自分なんかはそういう視点ですよね。それっていうのはここじゃなくてもいろんな所で応用できる。そういう目があると、いろんな見え方がしてくるっていうのが、そんな1日2日居てすぐ感覚的にわかる人と、そういう風にならない人がいるとは思うんですけど。まずそれが大きなおみやげだと思いますね。

ーー そのおみやげって無形のものを持ち帰った人が誰かに語りますよね。で、やっぱり広がりますか?

広がりますね。はい。で、都心部の方が広がりますね、やっぱり。

ーー それは何故でしょうね?

やはり、「当たり前」じゃないんじゃないですかね。非日常なんでしょう。こっちの人にとっては日常なのでそこに価値を見いだすというのがなかなか感覚としてしっくりこない。

ーー じゃあ、おみやげのお裾分けっていうのはちゃんと機能しているんですね。

そうです。あーなるほど、そうですね。

ーー その人たちがこっちに来たりするようなことはあるんですか?

ありますね。やっぱりなんだかんだ言って口コミで広がっていったということは大きくて、今いろんな媒体がありますけど、確実ですね。
あと、、、おみやげでは、Tシャツアート展では、Tシャツを返すときにですね、それはおみやげというか、参加料を払って頂いてるんで当然の対価なんですけど、洗濯しないで返すんです。というのは、ちょっとゴワゴワして塩っぽいっていうのも、そこの土地の雰囲気っていうものの、いろんな付加価値が付いてるんですね。

ーー そうですね、塩の風味、日に焼けて少し退色したりとかいうものもTシャツと共に一緒に返すと。

日に焼けて多少実際の作品と色が違ったりしても、そのことで文句を言う人はいないですし。ただ今年はTシャツが流されてですね、Tシャツが朝無くて、それはもう作り直しましたけど。逆に作り直したものを送り返すということがすごく、、、ちゃんと展示したものではないということの方が、流されたということよりも申し訳ないという気がしましたね。

ーー こういうミュージアムグッズ。これは焼き印ですか?

はい。これは塩抜きをして。

ーー ミュージアムグッズってどこで売っているんですか?

事務局で売っている分と、この辺のホテルとか、物産センターで売っているんですけど。あとはネット上ですね。

ーー こういったもので、例えばワークショップ的なものを1つの事業としていくということもあるんですか?

したいですね。そういうワークショップをやっていく人がですね、事務局のスタッフではなくて、地元の人がやって、そこにちゃんと対価も払って、、、という広まりが出来れば一番仕組みとしてはいいですけど。

あと、おみやげとちょっとずれるかもしれないですけど、高知の人って、とくにこっちの西部の人っていうのは、すごく、他所から来た人を受け入れやすいんですよね。Tシャツアート展なんかも、県外から来たボランティアの人たちに、近くに廃校があるんですけど、そこを宿泊施設に改造して、地元のおばちゃん達が宿泊の世話とかをしてくれてですね、その人のつながりっていうのは、絶対また呼び戻すんです。あのおばちゃんに会いにいこうとかっていうふうに、また東京からわざわざ来てくれたり。人の魅力みたいなものはすごくありますね。そういうものを結構持ってかえってもらってますね。

ーー 無形のおみやげですよね、海からのおみやげをまた伝えていくような。

形として持ってかえられるおみやげっていうのも、地元に色々あると思うんですよね。ただ、たとえばらっきょうでも、普通にらっきょうっていうよりは、ここで売っているのはくじらっきょうっていうのがあるんですけど、ちょっとそこにデザインがあって作った人のメッセージがあってっていう、ちょっと違った価値が付いたものが出来たら、またそれはそれで売れるのかなっていう。で、そこの、作ることは出来なくても、価値を与えることは砂浜美術館が出来ることなんじゃないかなと思います。で、一次産業の部分でなにかその考え方をくっつけることによって経済効果が生まれたりっていう目に見えるものが出来れば、すごくいいなという気がしているんですけど。

 

 


 

 

 

 

 

 

 


流木のおみやげ
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