景色、その他プロジェクトの置かれた情景から得られる条件を、単純(単純であるがその反面強い)なaxisに依る空間としてポジ・ネガの関係を構成しながらうまく表現している。この計画の中には機能、光を対象としながらグラデーション、ヒエラルキー、軸、リズムなどのオーダリングが多岐に埋め込まれている。
(担当講師 : 新井清一)
手でつつまれたような祈りの空間というコンセプトから、順を追ってひたすらメッシュ状の架構のスタディを重ねた模型が並んでいる。最初のモデルから最終形まで何度も何度も光と影が織りなす包まれたような空間のスタディを行ったところがすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
まず、海を敷地に選び断崖絶壁の敷地模型を地道に作った点がすばらしい。敷地模型の重要さを改めて自身で認識し、この複雑な地形をどう活かして建築にするのかを丁寧に考え模索した案。 キャンティレバーで断崖絶壁に突き出した空間に至るまでに、木漏れ日のような光がチラチラする様子を、ドットの開口で表現しようとし、木々の多い周辺環境から建物内部のシークエンスまでを一体的に考えようとしているところがすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
光や風の流れそして、風景のの取り入れ方の組み合わせを3種類にわけ、内部空間の体験を丁寧に考えた案。先が見えずに歩く光のトンネルのような空間は徐々に上るスロープになっており、そよ風が吹き抜け、行った先に木と空が切り取られる空間が用意されている。 光と影がちらちらするような、木製ルーバーの空間には、仮眠室などが用意され、木陰にたたずんでいるような空間になっており、両方をつなぐ空間は、光と影のコントラストが大胆に展開する空間と、それぞれの空間の光と風と風景の捉え方がとてもよかった。 しかし、最後のプレゼンテーションで内部空間の良さを伝える縮尺1/50以上の模型と図面、そしてプレゼンシートがなかったのが非常に残念であった。
(担当講師 : 望月公紀)
壁をテーマに、教会に至る空間を丁寧に考えた案である。 一見ランダムに見える壁の配置は、丘の起伏を増幅するように徐々に高くなっており、丘を登る人から建物を隠すように、そして、登った人からは全貌が見えるような仕組みになっている。 配置の仕方は、行く先々で、視線が通らないよう巧妙に計画しており、その壁を抜けると、厳かなシンメトリーの光の空間がまっているという構成である。天井にあけられたスリットからのみ、この空間に光が入り込み、光が時を刻むような祈りの空間である。 壁でシークエンスをつくるというコンセプトを形にしようと、方位や、配置計画、起伏の断面計画など、敷地を丁寧に読み込みながら建築を考えていった点がすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
L字の開口部から入ってきた光が、色のついた壁に反射し、大都会に佇む暗いひっそりとした祈りの空間に穏やかに光を注ぐ仕組みを考えた計画。このL字の開口部が壁であったり、天井であったり、床であったりと、闇の中に3次元的に展開するような大都会の祈りの空間を計画した。 光を表現するために制作した大きなスタディ模型がすばらしかった。
(担当講師 : 望月公紀)
「祈る」という行為を考えると、囲まれた安心感のある空間を創造してしまいがちだが、開放的な草原の敷地に開放的な祈りの空間を提案している点が新鮮である。高さ12mを超える交差ヴォールトと列柱空間は、訪れた人に季節や天候によって祈る場所を本能的に選ばせるのではないだろうか。
トイレなどの付帯施設のデザインまで完成できなかった点が残念である。
(担当講師 : 高橋堅(コメント:小杉宰子))