airUキャンパス

airUマイページ

歴史遺産の部屋

『日本霊異記』

2021.03.07

みなさん、こんにちは。業務担当非常勤講師の岩田です。少し暖かくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

私は日本古代史の親子や家族の在り方に関心があり、研究テーマにしています。古代史では使用する史料は限られるのですが、国家が編纂した歴史書から当時の人々の生活の様子を知ることは難しいです。そこで補足資料として用いるのが説話類です。平安時代初期にまとめられた仏教説話集『日本霊異記』や平安時代末の『今昔物語集』を読むと、様々な階層の人々が登場し、当時の社会や生活の具体的な様子をうかがうことができます。

『日本霊異記』は仏教の教えである、善いことをすれば善い報いを受け、悪いことをすれば悪い報いをうける「因果応報」をテーマとしています。死後地獄を見て生き返った人や狐と結婚する男、蟹の恩返しで助かる女、前世の悪業で牛になる人の話など、現実には起こりえない奇怪な話が多く収められています。どの話も短いのですが、興味深いです。

で、これまでは『日本霊異記』を文章で読んで用いていましたが、霊異記のマンガ版があるとのことで、読んでみるとけっこうおもしろくて衝撃的でした。

ichida『本当はこわい仏教むかし話 マンガでよむ「日本霊異記」』KADOKAWA、2016年

100話以上ある説話の中から、14話を紹介しています。文章を読む際には、読み流しをしてあまり具体的にイメージできていなかった部分や、気づいていなかったことがよくわかるのです。生々しくてインパクト大です。仏教の教えもわかりやすく図説してくれているので、入門編としておすすめです。

マンガを読んだから他の説話も知りたいわ、という場合には文庫化もされているので、そちらを読むとよいでしょう。

・中田祝夫全訳註『日本霊異記』上・中・下、講談社学術文庫、1978~1980年
・原田敏明・高橋貢訳『日本霊異記』平凡社ライブラリー、2000年

子どものころに日本歴史のマンガを読んで日本史に興味をもつようになったという方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。歴史を学ぶ上でマンガも一助となりますね。ご関心のある方は是非読んでみてください。

*ここで少し宣伝をさせてください。先日、吉川弘文館から『日本歴史』編集委員会編『恋する日本史』が出版されました。古代から近現代までの「恋愛」に関する論文集です。私も古代の内親王の恋愛と結婚とについて書いております。歴史学で「恋愛」を取り上げる際にどのようなアプローチが可能か、はたまた時代によってどのような恋愛模様があったのか、いろいろと楽しんで読んでいただければ嬉しいです。

ログインするとコメントが表示されます

コメント
画像添付
ファイルを選択

ログインするとコメントを投稿できます

歴史遺産の部屋

メンバー 195名

通信教育部芸術学科、歴史遺産コースに在籍する方への連絡用コミュ二ティーになります。
ぜひ、こまめにご覧いただければと思います!

一覧