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生駒の神々

2021.02.03

みなさん、こんにちは。業務担当非常勤講師の岩田です。寒い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

本日は生駒について書きたいと思います。大阪と奈良・京都の府県境にまたがる生駒山系、その主峰が生駒山です。生駒山と聞くと、関西にお住まいの方は、「生駒の聖天さん」と親しまれ、多くの人々の厚い信仰を集める宝山寺や、生駒山上遊園地、生駒ケーブルなどを思い浮かべると思います。

私はここ数年、宝山寺にお参りをさせていただくようになりました。とても清浄な空間で、心が落ち着きます。生駒山系の歴史についてはほとんど知りませんでしたが、下記の本を教えられて読み、綿密な踏査により明らかにされた生駒の姿に衝撃を受けました。

宗教社会学の会編『聖地再訪 生駒の神々―変わりゆく大都市近郊の民俗宗教』創元社、2012年

この本より先に、
宗教社会学の会編『生駒の神々―現代都市の民俗宗教』創元社、1985年

が出版されました。生駒山系をフィールドとし、踏査して行った宗教調査の成果が記されています。大阪という都市圏に近い地域で宗教が活況を呈し、生駒山系は神社・仏教寺院・諸教教会・在日コリアン寺院・瀧行場・巨石や霊木等のアニミスティックな崇拝対象・易占店・断食道場などが散在する聖地であることを明らかにしました。

上述の『聖地再訪』2012年の本は、『生駒の神々』1985年から四半世紀を経て、社会が変化する中で、生駒の神々のその後を明らかにするために行われた再調査の成果です。衰退と新たな萌芽の両面を浮き彫りにしており、衰退面では、多くの瀧行場が放棄され、小さな寺院・教会の建物が荒れるに任されている現状を報告しています。背景として宅地開発や交通の発展による都市化の波が生駒に押し寄せたこと、信者の高齢化、信仰の次世代への継承の難しさなどを指摘しています。

この本を読んで興味深かったのは、フィールドワークという調査方法で、人々の信仰を浮き彫りにしたこと、同じ場所を再調査することでその変化をあぶりだしたこと、そして25年という短い期間で人々の信仰の在り方がどんどん変化していること、です。

宗教施設そのもののことではないですが、宝山寺の参道も店の数が減り、更地や民家が増え、賑やかさが減っていると実感します。現在の生駒山系は、『聖地再訪』2012年の頃からさらに変化しているのだろうと思います。

映画の「男はつらいよ 浪速の恋の寅次郎」1981年では、寅さんが松坂慶子演じる芸者(美しい!)と一緒に宝山寺にお参りするシーンがあります。ケーブルが到着する宝山寺駅から、店が立ち並んで賑わっている様子が映され、昔は本当に賑わっていたのだな、と知りました。

少し脱線しました。関西ローカルの話に終始しましたが、みなさんのお住まいの近くにも生駒のような神々が集う場所があり、様々な歴史が刻まれていることでしょう。ご紹介した本は2冊とも、民俗宗教の調査の成果であり、このような分野に関心のある方にとって、調査方法等も含めて、とても興味深い本だと思います。 


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