建築や空間には実に多くのプログラムが潜み、表装にあらわれ、目に見えている部分はそのほんの一部分の結果に過ぎないことが多い。そのことを前提にしながらなお逆説的に、色彩は単なる建築や空間の「お化粧」だけではなく逆に色ですべての印象が変わってしまうこともまた紛れもない事実である。
極彩色に塗られた復元応天門は、オリジナルとスケールこそ違え、往事の姿を偲ばせるには充分。今とは違い、町中に色が氾濫していなかった当時、「王宮」としてのハレの空間を思いきり演出し、街に軽快なめりはりを与えていたものと想像される。
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