きおくする 【記憶する】

記憶の継承とまちの景観について考えてみよう

個人の記憶、または共有できる同時代的体験につながる事柄……街並みや公共的な建築空間のありかたが記憶の本質を問いかける。

スクラップ アンド ビルドで再生され続けるまちは一見ダイナミックに見えていても、風景と記憶の系につながりがなければ、単に新奇な景色が拡がるばかりだ。

そこにあるもの/あったことを伝えて行くこと。記憶の継承と蓄積こそが、歴史と文化をかたちづくっていく行為だと考えられる。


中京郵便局

保存的手法のいろいろ
記憶とはなんだろう。かたちをつうじてのこってゆくものなのか。

■換骨奪胎型
空間は生きてこそ。表面はできるだけそのままに、内装やテナント内容、場合によっては構造すら入れ替えて原型を保つ手法。欧米の都市はこの例が多い。
(上の中京郵便局、右の町屋風飲食店もこの例)

■表装一部保存
歴史的価値が高い建築や、人々に非常に親しまれている建築の場合、ファサードやロビーなどに原型の一部をはめ込んで保存するもの。銀行等に例多数。ただし注意が必要で場合によってはより痛々しい姿となり変わることもある。このため「保存した」という事実だけが重要なのでなく、あたらしいものとの調和を考慮すべきである。

(左:さくら銀行、右:ウイングス京都)

■保存しない
これまで経済原則「だけが」あまりにも優先されすぎた。また、逆にノスタルジーだけを云々するのも議論が成立しない。建て替えるときは、以前のものに尊厳をもって、充分にその意味をわかって行うべき。