瓦はモジュールが連続することで屋根にリズムと表情をつくり出す。瓦の歴史は古く、中国では紀元前800年頃からといわれている。それ以前の植物素材によるものに比べ飛躍的に防火防水性が向上したことがその普及を促したことは想像に難くない。当初からの葺き方は図版に見られる、いわゆる「本瓦葺」というタイプ。やや平坦な凹部と盛り上がった凸部というおもに2種類のパーツから成り、文字どおり凹凸がはっきりしたデザインである。端部の円形パーツが視覚的なアクセントとなっている。
日本には伝来以来社寺などに用いられてきたが、これとともに、現在一般にわれわれが多く目にするような、おもに1種類のパーツからなる「桟瓦葺」というタイプのものがあり、目的によって微妙に住み分けができている。しかしながらその出現は江戸時代まで待たねばならなかった。桟瓦葺は葺き土の量を軽減できるメリットもあってその後急速に広まったようである。
写真:本瓦葺きの回廊(蓮華王院)

なみうつかたち
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パリ近郊のパルクドラヴィレットの歩行者用「回廊」
なみうつリズムがあるく楽しさを演出するかのようだ

高台寺開山堂臥龍廊
瓦だけでなく歩廊そのものが地形に合わせ波打っている
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