「間」は、外国語に訳しにくい。なぜなら外国とは異なる日本固有の概念とセットになったコトバだから。「間」とはなにもない空間のことではなく、それは、そこに「そこはかとない空気」を感じさせ「あるのかないのか」「うちかそとか」という対立の概念を曖昧にし、時として遠近感やスケールの感覚すらも喪失させるかのようだ。
このような感覚をわれわれは古来より、外部と一体化するかのような「空間構成そのもの」から、または「柱構造と軽快な建具、縁や中庭」といったプラン、またあるいは「御簾・几帳」といった道具建てなどによって獲得してきた。
そしてこのことは、なにも空間的解釈のみならず、なによりわれわれの根源的な精神性とわかちがたく結びついている。
半透過の空間性 高山寺

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