面は薄く広がりのあるかたちである。身の回りにある面の素材で、それを加工し、組み立てられているものは実に多い。厚みがなく軽量で、折曲げ、切断加工、曲面加工などの方法で様々な形態をつくることができる。紙や金属や木や石など板状で構造になるのもの、布、プラスチックフィルム、シート、膜など表面として利用されるもの……。現代の自動車がモノコックボディを採用しているのは、軽く強い構造が要求されているからであり、面を閉断面やシェル構造的に応用し、それまでのラダーフレームという基本構造体に外と仕切るためのキャビンをつくるという考え方を駆逐してしまった。
これはちょうどカブト虫のようなものである。ウインドウやドアといった開閉できる部分はモノコックボディとしてはネックになるが、面を折り曲げてできる閉断面が柱状の構造体を併用することによって問題を解決している。断面が丸や四角の中空状になったパイプという素材は、中に液体や気体を流すことができるという機能以上に、より軽量の構造体としての意味がある。面材を加工することによって、このパイプ化が可能になったのである。
このように面のかたちを分析していくと様々な素材や技法が浮かび上がってくる。光は通すが空気は通さないガラスやプラスチック、また、障子紙のような薄いもの、さらに、姿形がみえるもの、映像がぼやけるもの、見えないもの、光を集束したり拡散するレンズのようなものなど、機能に応じて無数につくられてきた。カゴやネット状のものは、線材を編むことによって面をつくり、容器として、通気性能を確保している。布も同じく、保温性を保ちつつ、吸湿性や通気性をもち、様々なものを包み保獲する。伸び縮みしたリ、高い保湿性を保たせたり、空気を遮断したり、はっ水したり、イオンレベルの物質の透過をコントロールしたり、面的に内と外を区分する技術はさらに進化している。
(上)ノルマンジー地方の藁屋根
(下)フランス、ルアンの木造建築
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