【学習のポイント】テキスト科目「情報デザイン演習I-3(イ)イラストレーション1」

観察力を鍛えることが表現の手がかりになる

いざ描きはじめても、途中でこんなはずではないのに…うまく描けないと自分で簡単に判断してしまうことがあるかもしれません。イメージをそれらしく正確に伝えるためには、まず対象物をよく知ることから始めましょう。

イメージしたことを自在にイラストレーションに繋げられるようになるためには、まず丁寧に観察することが大事です。そしてこの経験と積み重ねが必要になります。観察が曖昧なまま見切り発車して描こうとすると、何をどのように描かなければいけないか、頭で整理できていないことで行き詰まり、うまくいかない場合があります。丁寧にとは客観的に形や構図、色、質感、立体感または状態や状況などを注意深く見て観察することですが、それだけでは表面的な部分しか見えていないかもしれません。例えば人ならその時の表情や姿勢だけでなく人物のいる背景も読み取ります。ものなら触れるものは触れてみて、匂いだり食べたり。また風景ならその場所を歩いて場の雰囲気を体感します。こうしてできる限り対象物に関わり、直接見えない部分も自分で求めたり感じ取ったり、探りながらからだ全体でイメージを把握できるとよいでしょう。まずは気楽に、描くための情報をたくさん手に入れましょう。そしてこれらの情報は対象物への興味や関心の幅を広げるきっかけになり、新たな視点の発見は描きたい意欲へ繋がります。このように前もって対象物をよく知り、気持ちをあたためられていると迷わず表現することができ、たくさんある課題枚数にも対応できます。

また多様な描画材料を使いこなすためには、それらの特性をよく理解することが求められ、その経験と蓄積が幅広い表現力を発揮してくれます。はじめは得意な画材や描画効果でうまく伝えられたときの内容の良さを手がかりにしていきましょう。行き詰まりうまく描けないことを簡単にできないと思い込まず、できた作品と比較して自分に足りない作業を洗い出してみます。何が得意で苦手か、自分を知ることも必要です。それはこうして気付いた点を意識して伸ばしたり、次にそれを改善し補う努力に切り替えられるからです。一つのやり方で伝わらないなと感じれば、伝え方を変えていけばよいのです。

この課題を通じて観察力を繰り返し鍛え、豊かな表現力を手に入れていけるよう、頑張ってください。

黒木美希