【学習のポイント】テキスト科目「情報デザイン演習II-1(グ)タイポグラフィ2」

紙面設計をする際、要素(点、線、面、文字など)を配置して伝えたいことを明確に示しますが、ここで重要なもう一つの要素があります。それは「余白」です。余白は「間」ともとらえることができます。また「ホワイト・スペース」と呼ぶこともあります。このなにも配置されない部分の効果を得るために、1:強調したいことを目立たせる。2:情報を絞る。3:文章を読みやすくする。4:視覚的効果を狙う。といった目的があります。ではこの4つの目的について課題制作に役立てる方法を解説します。

1:強調したいことを目立たせる。
この課題では特に強調したい部分があるわけではありません。4行で書かれた詩節が5つと1行のタイトルは同じような強さを持っていますのでどれかを強調する必要はありません。

2:情報を絞る。
この課題で使われている詩の情報量は少ないので余白を利用して読みやすく、静かな紙面を作ることを注意がけてください。

3:文章を読みやすくする。
行の間や文字の間を工夫して読みやすくして落ち着いた紙面設計をしてください。

4:視覚的効果を狙う。
ミニマルでモダンな印象を与えるために大きな余白をとって上品な紙面を作ってください。

余白についてテキスト『イラストレーションとタイポグラフィの領域』pp.192~193「タイポグラフィとわたしの造形」という拙文が記載されていますので参考にしてください。タイポグラフィとは「活字を正しく美しく配置する技芸」だと定義されていますが、身近にある書物を手にとって見てください。紙面いっぱいに文字が配置された書物は読みにくいばかりか読書の楽しみが失せてしまいます。読みやすい書物にはかならず余白があり行間と文字間はほどよいバランスがとれています。まるで活字の森を散歩するような心地よい読書に誘ってくれます。最後に、スイスのタイポグラフィ授業では「余白は神の宿るところ」と教えられるそうです。楽しみながら課題制作を進めてください。

佐藤淳