【卒業生からのメッセージ】和田京子さん(2014年度卒業生)
「不安なあなたへ 〜卒業制作の取り組み方〜」
仕事や育児などを行いつつ、他の課題をこなし、卒業制作で質の高いものをつくってしまうスマートな人をうらやましく思いながら、泥臭くあがきまくることしかできなかった私の卒業制作の経験が、同じように感じて不安な気持ちでいるあなたの参考になれば幸いです。
◆テーマは自分の経験や身近なところから
目まぐるしく毎日が過ぎていく中、壮大なテーマを設定することは無謀です。それがどれほど素晴らしいテーマだとしても、深く追究できなければ、表面をなぞるだけの陳腐なものになってしまい、独自性を見出せずに終わってしまいます。自分の経験や身近なところから自らの強みを見出して、悪戦苦闘しても愛おしいと思えるテーマを見つけてください。
卒業制作1(テーマプレゼンテーション)までにプレゼンテーションブックを作成しておくと、テーマがしっかり掘り下げられた段階からスタートできますので、試行錯誤する時間も増えますし、チャレンジ精神もわいてきます。
◆孤独で闇雲なファイトはやめましょう
一対一で先生方と話すテーマ相談は、ボクシングのミット打ちのようなものだと思っていました。ボクサーが試合に集中し、実力を発揮するためには、セコンドとの信頼関係は必須です。先生方に審査をされていると思えば恐いですが、自分を受け止め、新たなアイデアがひらめくきっかけをくださる力強い存在だと思えば安心です。ただし、先生方のアドバイスをないまぜにしたり、翻弄されてしまうと、本質を見失う可能性がありますので注意してください。自分の見方でそれらを熟考し、採択していく判断力も問われます。
引っ込み思案で不安なあなたは、制作過程の作品やポートフォリオを活用しましょう。作品は、口ほどに物を言います。
◆わかりやすい言葉で作品を示しましょう
プレゼンテーションやテーマ相談の際は、難しい言葉を並べても、伝わらなければ意味がありません。また、その場しのぎの言い訳も百戦錬磨の先生方には通用しません。気負うことなく、率直に伝える方が誠実です。上手なプレゼンをすることよりも、試行錯誤のみえる作品を見せ続けていくことの方が重要だと思います。
1、2年次の皆さんは、先輩の卒業制作の作品審査を聴講することをおすすめします。場の雰囲気や流れがわかり、今から卒業制作のテーマを考えておくことで、テキスト課題やスクーリングの折にジャブを打つこともできます。
卒業制作は、自分との闘いです。新しい可能性に気づき、成長できる機会をないがしろにせずに、誠心誠意、全身全霊でぶつかってください。今までの厳しい課題をクリアされてこられたあなたなら、自信をもって大丈夫です。
毎年、卒業制作展を楽しみに、陰ながら応援しています。
「完成までの試作品の一部」
「卒業制作展風景」