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2011年度 卒業制作・卒業研究 作品・論文集

卒業制作展・卒業生に寄せるメッセージ

卒業制作展

■会期
 2012年3月11日(日)~3月17日(土) 11:00~18:00(最終日は16:00まで)
■会場
 京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス 人間館、ギャルリ・オーブ、芸術館
■コース別出展者数
 芸術学コース48名、歴史遺産コース38名、文芸コース30名、
 日本画コース54名、洋画コース46名、陶芸コース41名、
 染織コース25名、写真コース20名、アニメーションコース8名、
 情報デザインコース22名、建築デザインコース56名、
 ランドスケープデザインコース25名、空間演出デザインコース22名

卒業生に寄せるメッセージ

「卒業に寄せて」
京都造形芸術大学学長 千住 博


この度は卒業おめでとうございます。
これから先、今までのように指導者に会える訳でもなく、どうやって制作を続けていけば良いのかと戸惑う方も多いでしょう。しかし、一度アカデミックな勉強をしっかりした訳ですから、心配する事はありません。経験と感覚で堂々と制作の日々を過ごしていって下さい。むしろ手に入れた自由な時間と大学で学んだ自信が、何ものにも代え難い贅沢に感じられるかもしれません。
ただひとつ心がけて欲しい事があります。それは、めざすは作品の「強度」という事です。強度の高い作品を創る事を心がけて下さい。
では「強度」を高めていくにはどうしたらいいのでしょう。
一つには「完成度」を高めていくという事があります。完成度とはすき間なく描ききったかどうか、と理解される事が多いのですが、描ききったかどうかという意味での完成度の高い作品がつまらない内容になってしまっている例は、公募展や名画で有名な美術館等で多く見受けられます。息苦しいまでの描きこみが、良い作品や作品の高い強度を生む条件ではないのです。
逆に印象派の巨匠達の作品は、言ってみれば見た目の完成度の低さに特徴があります。しかし強度は高い。これは画面的には完成度が低いように見えるが、実は熟考の末たどり着いた高い意識による真の完成度の内実と理解して下さい。
つまり完成度とは、びっしり画面を埋めるということではないのです。その事を世に示したのが印象派とも言えます。
では何をもって作品の完成度が高いと言うのでしょう。
それは、簡単に言えば、作品の中の序列の整理です。例えば、主役は何か、つまり一番言いたいことは何か。次の準主役はどれか、脇役はどれか、通行人はだれか、という順番が描きはじめから最後まで一貫していれば、それは意識の完成度の高さであり、結果として作品の完成度に繋がり、それがゆるぎない強度を生む一因になるのです。描きたいと感じたある事、あるものの印象が最後まで塊として伝わっているか、ということです。大切なところは執拗に追うが、余計なところは心して描かないという態度です。この秩序を画面の中で絶えず意識し、心がけ、そしてその線で描くべきところはしっかり描き込む事です。すなわち完成度とは、確信され、貫徹されるテーマ性のぐらつきのなさの問題なのです。
そして強度を高めるにはもう一つ心がけが必要です。それは、作品は自己表現ではなく、世界表現だという自覚です。自分はどのような世界に生きているか、という事を描くのが芸術です。揺るぎなく確固たる世界観があれば、その結果として表現世界の高い強度を生むのは必然です。これは制作以前の心構え、人間性、哲学、人生経験の問題でもあります。
しかし同時に、制作をする事によって、世界観は形を持ち、整理され更に強靱なものになってゆくものでもあります。制作をするという事自体が、私たちが考えを進めていくプロセスなのですから。
制作をしながら生きる、同じ側に立つ仲間として、皆さんを心から応援しています。最善を尽くしてやって行きましょう。



「次の開花を心待ちに」
京都造形芸術大学通信教育部長 上田 篤


桜のつぼみも徐々に膨んできました。
本学で学び、今まさに卒業しようとする皆さんの姿に映ります。
皆さんの作品、論文は、一足早く、ここに大きな花を咲かせています。
ひとつひとつが鮮やかな色彩の個性を放ち、惹き込まれます。

社会人であるがゆえの仕事や家事との両立。
言葉にするのは簡単ですが、多くの困難に直面したことでしょう。
また、2011年は日本全体が大きな試練と向き合い、
芸術する心について、深く考えはじめる一年でもありました。
ここまで辿り着くには、決して平坦な道のりではなかったはずです。
一方で、志を同じくする仲間との切磋琢磨や
学生ならではの思い切った挑戦は、かけがえのない思い出になったと思います。
こういった様々な経験が、皆さんの作品、論文の色に深みを与えてくれたのでしょう。

皆さんの「芸術する心」の成果とその挑戦に深く敬意を表すとともに、
心からともに喜び合いたいと思います。
皆さんの喜びは、数千の後輩たちや、「芸術する心」を持ち続ける多くの人々の喜びにつながるのですから。

通信教育部はお花畑だとある先生が言いました。その通り!
皆さんがここで育んだ種を、次は全国各地で咲かせ、どんどんその輪を拡げていきましょう。
皆さん方ひとりひとりの活動が、芸術立国そのものなんです。

今後のご活躍をお祈りいたします。
次の花が咲いたらお知らせくださいね。