卒業制作展
■会期
2011年3月13日(日)~3月20日(日) 11:00~18:00(最終日は16:00まで)
■会場
京都造形芸術大学 瓜生山キャンパス 人間館、ギャルリ・オーブ
■コース別出展者数
芸術学コース55名、歴史遺産コース38名、文芸コース20名、
日本画コース54名、洋画コース38名、陶芸コース42名、
染織コース28名、写真コース25名、アニメーションコース13名、
情報デザインコース15名、建築デザインコース69名、
ランドスケープデザインコース30名、空間演出デザインコース14名
卒業生に寄せるメッセージ
「通信教育部卒業制作展に寄せて」
京都造形芸術大学学長 千住博
卒業に至る通信教育で学ぶ皆さんの日々は、大変な努力の連続だったことと思われます。 不屈の精神が結実されたことに、心からお祝いを申し上げます。
卒業ということは、未知の大海原に一人乗りの小舟に乗って漕ぎ出すような、そんな人生の次の章が始まったことを意味するのではないでしょうか。
家庭や仕事と両立させながらの厳しかった学生生活の日々を思えば、これから先、簡単にオールを投げ出すような、つまり筆を折ったり挫折したりすることはまずないことでしょう。様々な理由でどんなに絵筆を持つブランクがあいてしまったとしても構いません。筆をまた強く握り直せば良いのです。そしてとにかく一作でも多くの作品をつくり続けてゆかれることです。
その様な毎日の中で、是非心に留めておいていただきたいことがあります。長年の間、私が皆さんに言い続けてきていることですが、それは作品をつくるということに於いて、自分が描きたいから描くという動機も大切ながら、それを皆さんはプロとして公に発表する訳ですから、誰かが自分の作品を目にして人知れず励まされたり感動したりしているかもしれないということを必ず意識することです。皆さんの作品を見て、または存在を知って、挫折から立ち直ったり、死の淵から生還する人がいます。その使命感を持つ人のことをプロと言うのです。そして芸術とは「Peace Making Process(平和創造への過程)」です。戦国時代に「四季図」を描き、春夏秋冬を一枚の画面に閉じ込め、どんな相反する敵対勢力も調和することができると説いた狩野永徳をいつも思い出して下さい。
私も試行錯誤しながら、日夜挑戦を続けています。30年描いていても、絵の具が落ちたり画面が割れたり、嫌になることが多々あります。思いの詰まった作品を発表しても、満足のゆく評価を得られることなど滅多にないのが日常です。負けないで毎日を生きるのみと毎朝アトリエに入っては自らに檄をとばしています。
人は必ずしもきれいな色や形で感動するのではないということも、私が言い続けたことです。何とかして伝えたいと思うネバーギブアップの心意気が、人を感動へと導きます。これも是非忘れずにいらして下さい。皆さんの今後のご健闘を教職員一同とともにお祈りします。そして、素晴らしい人生の新たな章の始まりを心から祝福します。
「いってらっしゃい」
京都造形芸術大学通信教育部長 上田 篤
皆さんの晴れやかな笑顔が似合う季節になってきました。
つい先日までの緊張感はどこへやらですが、実に良い表情です。
ここにある作品・論文の全てが
それぞれに輝きを放ち我々を惹き込みます。
志を同じくする仲間との切磋琢磨や楽しい思い出もあれば、
学業と仕事や家事との両立という社会人ゆえの苦難もあったでしょう。
そのどちらもが論文・作品に奥行きを与えたに違いありません。
皆さんの「芸術する心」の成果とその挑戦に心から敬意を表します。
本学は「芸術立国」という理念を掲げていますが、
皆さんが全国で繰り広げる芸術的創造の軌跡こそが
その骨格を形成するものだと私は思います。
皆さんの一歩一歩が、通信教育部の、本学の歴史となるのです。
日本初の芸術大学の通信教育として歩みはじめて13年が経ちますが、
今年度は初めての卒業生公募展も盛況に開催されました。
ますます元気に、「芸術する心」を育む場であるとともに、
新しい夢への出発点として皆さんを見守り続けます。
安心して、自信を持って、旅立ってください。
豊かで、少し刺激的なこれからの人生を存分に謳歌されることを願っています。